ドラマ『水曜日の情事』ネタバレ感想&考察解説|不倫相手は妻の親友…意外すぎる結末の90年代不倫ドラマの名作

2001年放送のドラマ『水曜日の情事』は、大人の複雑な不倫心理とその奥に潜む“女同士の特別な感情”を描き出す鋭い心理ドラマだ。

誰もが羨むパワーカップルと、妻の親友の三角関係が、本木雅弘・天海祐希・石田ひかりの確かな演技力で描かれる。

ここでは、全話を通して見えてきた彼らの心理、そして最終的に辿り着いた結末の意味を考察しながらレビューしていく。

すでに観た人も、これから観る人も、ぜひこの複雑で痛切なドラマの深層へ、いま一度一緒に潜り込んでほしい!

本記事は感想にネタバレを含みます。まだ未視聴の方はご注意ください◎

ドラマ『水曜日の情事』の評価

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総合評価  4.0 / 5

評価コメント:泥沼不倫?いいえ、海よりも深い女の友情ドラマです

『水曜日の情事』は、不倫を題材にしながらも「男を奪い合うドラマ」ではなく、女同士の濃密な友情と愛憎を描く稀有な作品だ。

あいと操は、憧れ・嫉妬・執着など複雑な感情で結びついた特別な存在。操はあいを欲しすぎるあまり、あいから詠一郎を引き離そうとしている。

やがて彼らはヒリヒリと緊張感が走る三角関係に突入するが、やがて現実を受け止め、赦し、執着や欲望を手放して、新たな関係を再構築していく。

本作の魅力は、不倫を単なるスキャンダルとしてではなく、葛藤や苦悩、罪悪感など心の動きを細密に描く点だ。

特に第7話は珠玉の名脚本で、ドラマ史上最も爽やかな離婚シーンが素晴らしい。

愛とは何か、幸せとは何か――“認めて、手放す”ことで大人たちが傷つきながらも成熟していく姿が深く心に残る、大人のラブストーリーである。

 

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ドラマ『水曜日の情事』ネタバレなしあらすじ

敏腕編集者の佐倉詠一郎は自他ともに認める愛妻家だ。リフォーム会社を経営する妻・あいとの結婚生活は3年目を迎え、互いに多忙ながらも満ち足りている。

あいの学生時代の親友・操の夫が亡くなったと知り、詠一郎とあいは揃って葬儀に出席した。詠一郎はこの日初対面の操が、葬儀中じっとこちらを見つめ、奥村チヨ「恋の奴隷」を歌っていることに気づいてしまい、それ以来彼女のことが気になって仕方ない。

高校卒業後ある理由で15年会っていなかったあいと操は、再会をきっかけに詠一郎も交えて旧交を温める。

詠一郎とあいの家から徒歩15分の近所に引越してきた操は、いよいよ詠一郎を誘惑し始めた。

あいの目を盗んで毎朝操の家に通う詠一郎は、自身の体験をネタに担当作家・前園耕三に恋愛小説を書かせることを思いつく。

あいが出張で不在の水曜日の夜、詠一郎はついに操と関係を持つ。セックスの達人である操の身体の虜になってしまった詠一郎は、あいに罪悪感を抱きながらも、ずるずると操との逢瀬を重ねてしまうのだった。

詠一郎は、あいと操の間に自分が知らない秘密があると勘付いてはいるが、不倫隠蔽に手一杯でそれどころではない。

操の要求は次第にエスカレートし、あいも詠一郎が時折見せる不審な行動に何かを察している様子。そして、操と詠一郎の不倫はあいにバレてしまうが、あいは意外な反応を見せる。

物語後半、三角関係はよりいびつに形を歪めていくも、ラストには不倫ドラマとは思えないほど晴れやかな結末が待っている。

ドラマ『水曜日の情事』ネタバレあり感想

不倫を通して女同士の猛烈な友情をあぶり出す

「女ども、もういい加減にしてくれ」

自分の予想を裏切る行動をしてばかりの愛人・操や、勘のよすぎる妻・あいに振り回され疲れた詠一郎は心で呟く。

操が「これは男女の問題じゃなく、女と女の問題」と言うように、これは詠一郎を取り合う体裁を取った、女同士の愛憎入り組む友情の物語だ。

操は「憧れ」、「羨望」、「嫉妬」、「競争意識」、「執着」、「憎しみ」、いろんな感情を小学生の頃から煮詰めに煮詰めた、特濃の愛情をあいに抱いている。愛妻家と宣い、たった結婚3年の結婚生活を誇らしげにひけらかす詠一郎とは、比べものにならないほど強い気持ち。

一方、あいにとっても操は存在なしでは過去を語れない、親友以上の存在だ。家族の絆が希薄な青春時代を操に支えられて乗り越えてきたのだから。

そして詠一郎は、あいの芯の強さにときめき、操の身体に鼻の下を伸ばしながら、自分を巡って冷戦を繰り広げる女たちのあいだでただオロオロしている。

操を取り戻したいあいと、あいと対等になりたい操。詠一郎のプライドを投げ打った決死の愛の告白では、彼女たちの心の空洞を埋められない。

魔性を振り撒き、一つの家庭どころか周囲の人間関係もぶち壊した愛人は本来なら憎まれポジションだが、本作の操はあいが好きすぎるあまり夫をあいの横から引き剥がそうとしたというのが新しく、ラストの行動には好感さえ持てる。

最後まで操を恨まず、操とともにバージンロードを歩いて「嬉しかった」とまで言うあいの強さにも痺れた。

終盤には不倫でそれぞれが自分を見つめ直し、一度壊れた関係性が再構築されていく明るい展開が用意されているので、これから本作を見る人は前半の石田ひかりの地雷女っぷりに怯えず、安心して見てほしい。

「認めて、手放す」ことで乗り越え、成熟する

登場人物たちは「認めて、手放す」ことで、苦しみを乗り越えていく。

手放すのは、モノや人だけではない。時には恋や欲望も手放し、心は喪失の傷で血を流しながらも晴れやかな顔で一歩を踏み出す。

あいと操だけじゃなく、由香子も志摩子ママも明洋も、詠一郎もそうだ。

有能で仕事もプライベートも順調で女にもモテ、これまでの人生で何でも手に入れてきた詠一郎は、「いくら望んでもどうにもならない」ことを受け入れ、あいと操への固執を手放し、終わりのない女同士の争いから二人を解放した。

自分の今の感情を認め、ありのまま受け入れ、そっと手放す。これを人は「成長」と呼ぶ。

そして、成長を繰り返すことで人は「成熟」する。

大人のラブストーリーはキュン要素こそ少ないが、大人たちが成熟し人生の深みを増していく、ゆったりたっぷりとした芳醇さが魅力だと思うのだ。

個人的には、明洋の彼女ハコの成長が最も印象的だった。

髪飾りを頭にもりもり飾りつけ、プチ修羅場でも朝マックをもさもさ頬張るハコは、ちょっとおバカな子として登場した。

が、妊娠が分かるや、ハコはゴテゴテとしたファッションをやめ、母親になる決意を全身で表明する。外見どころか、言葉使いや主張までもが頼もしくなり、視聴者の声を代弁する”良識”にまでなるとは誰も思いもしなかったろう。

ドラマ史上一番爽やかな離婚シーン

詠一郎とあいが離婚届を提出しに役所に行く第7話は、離婚シーンを描いたあらゆる作品の中で、ぶっちぎりダントツ一位の名脚本だと思っている。

ここまでの不倫パートのドロドロを一気に浄化させ、この後の詠一郎のもの寂しさにブーストをかける、作品の転換点でもある。

こんなに爽やかで泣ける離婚シーンがあることを、日本中に知ってほしいくらいだ。

本作は、「愛人いかれすぎてやばい」とか「不倫は不幸になるだけ」など、不倫をホラーとして描きはしない。

罪悪感や倫理観と闘いながらも、愛人の甘い誘惑に抗えず心で妻に謝り続ける、人間の複雑な心情と本能を緻密に描き出し、不倫を単なる「火遊び」で片付けない。

微妙な心の揺れ動きを、声色や立ち方歩き方でも丁寧に表現するキャストの演技力も、素晴らしかった。

ちなみに、詠一郎と操の結婚式は、日本のドラマ史上最も心情的にグロテスクな結婚式だと思っている。

 

ドラマ『水曜日の情事』考察・解説

【考察】あいが詠一郎と操の不倫を仕組んだのはなぜ?

あいは「詠一郎と操はきっと不倫関係になるし、そうなってもいい」と思って二人を引き合わせた。その目的と理由を考察する。

あいには「愛人と自分を比べて、自分を選んでもらうことで詠一郎の愛を確かめたい」という欲求がある。それはあいの両親が家族より恋人を選び、あいの元から離れていったことにも原因がある。

あいは、他の女と遊んでも自分を本命でとして差別してもらうことで、自己の存在価値を証明しようとしたのだ。

周囲にも愛妻家と宣言する詠一郎は完璧で理想の夫だ。だが時として完璧さは他人の目には嘘くさくも映り、不安の種になる。

操の前にも、あいは詠一郎を試すつもりで自社でバイトしている大学生を、詠一郎にけしかけたことがある。

あいの目論見通りに詠一郎と操は付き合い始めるが、詠一郎が操を自分と同等に愛してしまったことにショックを受ける。一度や二度じゃなく、自分に隠れて操との関係を続けようとしていたなら「それは本気だ」と言い、自分の計略を謝り、あいは詠一郎の前から去っていった。

【考察】詠一郎はなぜ操との結婚式を拒否しなかったか

川の向こう側で操と暮らした1年で、あいへの気持ちを再確認した詠一郎は、あいに改めて愛を打ち明ける。

真摯な告白に心を動かされたあいが詠一郎の思いに応えようとしたとき、操があいだに割り込み、復縁を阻止。そのまま操は詠一郎を連れ帰り、「結婚式を挙げよう」と言う。

ここで疑問なのは、さっきまであいとヨリを戻さんとしていた詠一郎が、なぜ操の提案を拒否せず受け入れたのか。

これは、満面の笑みで近いてくる操を見た詠一郎は、「あいとヨリを戻しても、また操は自分を追ってくる。あいをこの終わりの見えない苦悩から解放するには、自分があいから離れ操を抑えこむしかない」と悟ったからだろう。

あいの心の凜とした強さ、たくましさを愛したからこそ、あいなら自分と離れても幸せを掴めると信じた。

表面上は操を選びはしたが、その実は、あいの幸せを最優先しての決断だったと考えられる。

皮肉にも、操を選ぶことで、あいが求めた「愛人より自分を選んでほしい」が達成されたことになる。

【考察】操が土壇場で詠一郎を捨てた理由

詠一郎と操の結婚式。詠一郎に操を託してあいが結婚式場を去ると、操は詠一郎との永遠の愛を誓わず、あいを追うように式場を出ていく。

ここまで散々、操のあいに対する執着が描かれてきたので分かりきったことではあるが、操が詠一郎を捨てた理由を明確にまとめておこう。

操の願いは、あくまで「あいとともに生きること」で、詠一郎を手にいれることではない。究極は”あい=操”になることだ。

操はあいから詠一郎を奪うことに成功したものの、劣等感や「あいに下に見られている」思い込みが拭えずにいた。それでも、詠一郎を中心にしてあいと張り合っていれば、あいに操の存在を意識させ続けることができる。

しかし、あいは詠一郎を「自分の幸せには不要な存在」と手放すことを決めた。これでは、あい=詠一郎=操のバランスが成り立たなくなり、操にとっても詠一郎は不要になる。

そして、あいは操とバージンロードを歩いて「家族になれたみたいで嬉しかった」と語った。この言葉でようやく、あいを見上げて焦がれるばかりだった操は、あいと対等になれたのだ。

自分が望むあいとの関係を手に入れた操は、苦しみに耐えて自分と結婚しようとする詠一郎を解放し、詠一郎が別の幸せを掴む道を開いたのだった。

同窓会と称して集まったとき、詠一郎に近況を語る操は別人のようにカラリとした明るい雰囲気で、これが元来の操の姿なのかもしれない。

【解説】家や食べ物で示される妻あいと愛人操の対比

経営者として仕事優先の忙しい日々を送るキャリアウーマンのあいと、夫の遺産で暮らし献身的に男に尽くす操。

正反対の生き方をする彼女たちは、家や小道具でもはっきり対比されている。

詠一郎とあいの家は、おそらくあいの設計でリフォームしたのだろう、和と都会的な要素を混ぜたユニークなデザイン。操が引っ越してきた中古住宅は昭和建築らしき和風の家だ。

詠一郎とあいは、朝は各自でパンをトーストして簡単な朝食をすませ、夜は外食をすることも多い。

一方操が用意する朝食は、朝からご飯を炊いて魚を焼く、詠一郎曰く「旅館の朝食のような」和食。詠一郎の帰りが遅くとも、操は夕食や夜食を用意して待っていて、あいがクリームシチューを作れば、操はビーフシチューを作る。

家やインテリア、料理であいと操の違いが象徴されるが、登場人物の環境や精神の変化もまた、インテリアや服装でわかりやすく示される。

前園宅のインテリアや、由香子やハコの外見の変化によって、作中では語られずとも彼らが経験した日々を想像したくなる。

ドラマ『水曜日の情事』主な登場人物・キャスト

佐倉詠一郎(本木雅弘)
35歳のエリート文芸編集者。結婚3年目の妻あいとは取材で出会った。男女問わずモテる。耕作に恋愛小説を書かせるため、操との不倫に踏み出す。

佐倉あい(天海祐希)
詠一郎の妻、33歳。3年前に独立し、住宅リフォーム会社を経営している。両親は離婚、弟は蒸発して家族とは疎遠である。

天地操(石田ひかり)
あいの同級生で親友。結婚2年の夫に先立たれ、葬儀で15年ぶりにあいと再会し、再び親交を持つようになる。

前園耕作(原田泰造)
新進気鋭の若手ハードボイルド作家。恋愛経験が少なく、恋愛小説を書いてほしいという詠一郎の希望には難色を示している。

岡島明洋(谷原章介)
あいの2歳下の弟で操とは高校時代に付き合っていた。あいの金を持ちだして姿をくらませていたが、再び操の前に現れる。

浜崎由香子(伊藤美咲)
詠一郎と前園行きつけの文壇バーの新人ホステス。昼は家電メーカーでOLをしている。

小暮志摩子(木村多江)
文壇バーのママ。若き着物美女で、かつて詠一郎が口説いたが、本気で取り合ってくれなかったという。

沖野晶午(北村一輝)
あいと仕事仲間のインテリアデザイナー。ゲイであり、あいが本心を打ち明けられる数少ない友人。

都山ハコ(金子さやか)
明洋の恋人。派手で個性的なファッションに身を包んでおり、昔は文学女子だった。詠一郎に操のことで忠告をしてくれる。

溝口興三郎(田村亮)
詠一郎が担当している大御所作家。ある理由で文壇から干されていたが、詠一郎が担当した「恋愛小説」のヒットで一躍有名になる。

大森年宏(田山涼成)
詠一郎の上司。詠一郎を「行動隊長」と呼び、頼りにしている。

 

ドラマ『水曜日の情事』作品情報

作品情報

⚫︎ 脚本:野沢尚
⚫︎ 演出:永山耕三、西浦正記、成田岳
⚫︎ 音楽:Knife
⚫︎ 原作:オリジナル作品
⚫︎ 話数:全11話
⚫︎ 放送:2001/10/10〜2001/12/19 水曜21時枠
⚫︎ 放送局:フジテレビ
脚本・野沢尚の主な作品
  • 『素晴らしきかな人生』(1993年)
  • 『眠れる森』(1998年)
  • 『氷の世界』(1999年)
  • 映画『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』(2002年)  ほか多数

受賞・ノミネート

2001年 第31回ザテレビジョンドラマアカデミー賞

  • 受賞:脚本賞 野沢尚

主題歌

久保田利伸『Candy Rain』

 
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