Netflixドラマ『阿修羅のごとく』4話ネタバレ感想&考察:父のボヤ騒ぎ,鷹男の浮気相手

Netflixシリーズドラマ『阿修羅のごとく』第4話

画像引用:ナタリー

本記事はネタバレを含みます。まだ未視聴の方はご注意ください◎

Netflixドラマ『阿修羅のごとく』4話ネタバレあらすじ

次女・巻子は鷹男の浮気相手を知り、精神的に参っていたこともあり、スーパーで万引きをしてしまう。

母の死後、咲子の暮らしぶりは様変わりしていた。夫の英光はボクシングチャンピオンになり、咲子は長男「勝利(かつとし)」を産み、豪華なマンションに転居。英光の母親を田舎から呼び寄せ、同居を開始した。

長女・綱子は枡川主人との関係をまだ続けていた。

そんな姉妹たちに、母・ふじが亡くなって以降、一人池上の家で暮らす父・恒太郎がボヤ騒ぎを起こしたと知らせが入った。

Netflixドラマ『阿修羅のごとく』4話のネタバレあり感想・見どころ

浮気はまだ終わっていなかった

いや3話で綱子の浮気は終わったやないんかい!枡川主人に腹パンして、颯爽と出ていった綱子はとてもかっこよかった。それなのに…。喧嘩のたびに別れては復縁を繰り返す高校生のように、だらだらと関係を続ける中年二人です。

鷹男の浮気のほうも、変わらず続いていましたね。前回鷹男は、男は妻に申し訳ないと思いながら浮気をしていると語り、いいやつポイントを上げたところでした。さすがにあれを言っておきながら浮気を続けるほど図太い神経していないだろうと、鷹男の良心を信じていたんですが、そうでもなかったか…。ただ、鷹男の浮気相手の啓子は、今の時代の女の私から見ても魅力的です。

でも、あれで浮気が終わっていたら、記憶に残らないドラマだったと思います。綺麗にまとまるのはいいことだけど、それじゃ平均点に止まってしまう。『阿修羅のごとく』がこうしてリメイクされる名作として残っているのは、人を憤らせたり驚かせるほど、深く、人間の業と性を描いてるからなのでしょう。

ここに注目!:朝、父の不在に気づき「人間なんて厚かましいもんなんだから。随分恥かいたって結構ケロッと忘れてやってくんだから」と綱子のセリフ。そのまま本人に跳ね返る、核心を突いた一言!

英ちゃんがついにチャンピオンに!

こんなにも早く、あっさりと、英ちゃんがボクシングチャンピオンになっていました。新居のリビングにずらり並ぶトロフィーたち。咲子の妊娠と、浮気の後悔を糧に練習に打ち込んだ結果でしょうか。おめでとう!

英ちゃんのチャンピオン達成で、咲子の目標も達成され、「今まで見下してきたやつを見返す」という鬱憤も一応は浄化されたのでしょうか。咲子から「頑張る彼氏を懸命に支える彼女」というひたむきさが消えた今、少し高慢でいやな感じ、今でいうとマウント取ってくる女になってしまったように映りました。

でも、早朝は英ちゃんを電話で起こしたり、ふと自分の存在価値が揺らいで弱音をこぼしたりするところ、本質的には咲子は変わっていないと思います。派手な服装や強い態度は、チャンピオンの妻として侮られないよう、咲子なりの武装なのかもしれません。

滝子がめんどくさい女になっている

滝子と勝又は、ぼかしているけれど要は…勝又の勝又がいざ!というとき機能しなかった。滝子はそれを、自分に魅力がないからだと悩んでいる。そういうことですよね?

今までも容姿にコンプレックスはあったけど、今回勝又がだめだったことが、滝子の中では自分が見劣りする何よりもの証拠になってしまったようです。

3話で勝又は「滝子は綺麗」ときちんと言葉に出して伝えているし、勝又の感情表現はだいぶストレートだと思います。パックしてるから顔を見せられないと言う滝子に「見たい」と即答しているし。それでも納得できないなら、滝子はどうすれば救われるんだろう。

本当に単純な、だけど唯一で効果てきめんの解決策だろう「あれ」。私たちはお墓参りのときのような仲睦まじい二人、リラックスした様子の滝子がまた見たいんだ。頑張れ勝又!

「女の性欲」に踏み込む鋭さ

昼ドラや深夜ドラマはエロいから面白い。私はそう思います。もちろん登場人物たちがホイホイ脱いでくれるからいい、ということではなくて。人の「性欲」を恥ずかしいものとして目を背けず、あって当然のこととして肯定し、共感させてくれるから。(ただ脱がせるだけのお色気作品もありますが…)

女性の性欲を、お色気じゃなくドラマとして描くことは、難しい。少し間違えれば下品になってしまうし、女性を貶める表現にも、暴論にもなりかねない。慎重なバランスとテクニック、相当な配慮が必要だと思います。だけど本作には、他の作品ではふわっと誤魔化すところもきちんと描く鋭さがある。

最後の綱子姉さんが、帯や紐の中で悶々とするシーン。紐は綱子を縛り抑えつける手枷のようで、その中でのたうつ様は芸術的でさえありました。艶もあるけど、理性と闘う苦しみがすごく伝わる。是枝監督、ナイスワークです。

3話まで作品の中心だった父の浮気は落ちつき、この4話からは性欲・愛を軸に「欲望」にスポットが当てられました。登場人物たちが、欲望に従い抗い、次はどんな行動に出るのか楽しみです。

ここに注目!:綱子が寝そべり、悶々とする4話ラストシーン。艶、美しさ、切なさ、苦しさがぎゅっと詰まっていて印象的です。

Netflixドラマ『阿修羅のごとく』4話の考察・解説

崩れゆく巻子の精神状態

鷹男の浮気相手・赤木啓子は、賢く、ユーモアがあり、華やかな、秘書として働く自立した女性でした。真面目で質素、主婦として生きる巻子とは全く違うタイプ。

それどころか、鷹男が巻子に理想の妻として語る「つまらない憶測しない」「おっとり構えてる」「ちょっと愚鈍な」女像とも重なりません。どちらかと言えば、頭の回転が早く、勘が鋭く、ずる賢い、正反対なタイプです。

啓子の名前を知って以降、情緒不安定な巻子。池上の実家で片付けに泊まった翌朝、鷹男が来たと玄関に向かう巻子の浮かれようは異常とは行かないまでも違和感がありました。

母のように鬼と化して静かな怒りを燃やしながらじっと耐えることはできず、まだまだ人間の巻子の中には、浮気によるダメージが着実に蓄積しているようです。

啓子の名前が頭の中で繰り返されるときの「石臼が回るような」イメージは、父が浮気していたときに、母が夜な夜な石臼を引いていた遠い過去の記憶が反映されているのでしょう。

父の浮気はまだ続いているのか?

父・恒太郎の浮気は、相手の土屋友子が結婚するため3話で終わりました。四姉妹は父の浮気は本当に終わったのか、話していました。咲子だけは、浮気相手との関係は「切れない」と言い切っていましたが、4話時点で父はやはり復縁はしていないと考えられます。

  • 友子は結婚した → 父が生活の面倒を見る必要はもうなくなった (友子との仲は愛ではなく、情による関係だった)
  • 実家はゴミや物で散らかりきっていた → 室内に散らばった物にはボヤ騒ぎ以前からの生活の跡があり、友子は実家に出入りして片付けや世話をしていない

父の過去の浮気も、相手は戦争未亡人でした。友子もシングルマザー。どちらも女性一人で苦労していたことは容易に想像できます。父の浮気は、愛や遊び心のためではなく、困っている女性を放ってはおけない正義感に起因していそうです。

阿修羅=煩悩を司る

阿修羅は仏教において、怒り・嫉妬・争いを象徴しますが、もう一つ別の側面が。「煩悩」を司る存在でもあります。

3話までは、浮気の父 vs 耐える母 の静かなバトルを四姉妹が見守る構図でした。

4話からは、四姉妹を始め登場人物それぞれが、煩悩に悩む様子が描かれています。特に綱子を筆頭に「性欲」に振り回される者たち、嫉妬に胸を焦がす巻子、存在を認められたい咲子、愛されたい滝子。

煩悩に取り憑かれている状態の彼女たちは、まだ悩める人間。これから、母のように阿修羅と化していくのでしょうか。

 

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