崎山つばさファンの私は、『クロガラス1』公開当初から作品の存在は知っていたものの、劇場公開期間が短くて見るのを諦めていた。
そんな『クロガラス』シリーズが、Netflixに入った!しかも、全作国内TOP10にランクインしているだと!?
これはとんでもなくおもしろい作品で、公開から数年たってようやく世間に見つけられたか…と思い、さっそく『クロガラス1』を鑑賞した。
結論…ランクインしたのは、各キャストのファンの愛がもたらした奇跡だったのだろう。作品の出来はイマイチだったけれど、キャストのファンならまあ、暖かい目で楽しめないことはない。
そんな『クロガラス1』のレビュー、はじめます!
本記事は感想にネタバレを含みます。まだ未視聴の方はご注意ください◎
映画『クロガラス1』の評価
総合評価 2.5 / 5 点
評価コメント:キャストのファンじゃないならやめておけ!
2.5次元舞台で活躍する俳優がメインキャストを占める本作では、映画の画面上では少々大げさに思える舞台的な演技が目立つ。映画と舞台の表現方法の違いによる違和感が演技力不足とされて低評価を受けている。
アクション作品と言いつつもアクションはほとんどなく、失踪した舞衣の捜索過程におけるサスペンスの要素の方が強い。1ではほとんど明かされないままの主人公・黒斗の謎が続編への期待を高めている。
歌舞伎町の描写はリアリティに欠け、突っ込みどころも多いが、エンタメらしくデフォルメされた大袈裟なキャラクターや世界設定のおかげで、社会問題を扱いつつも重くなりすぎず、悪人がきちんと成敗される痛快さがある。ウシジマくんは重すぎて後味悪かったという人でも気楽に楽しめるだろう。
2.5次元、アイドル、グラビアなど各ジャンルで人気を誇るキャストが集結し、ぎこちないながらも奮闘する様子はファンにはたまらない!
脚本はテンポもまとまりもよく、製作側の頑張りは伝わってくるが、作品全体のクオリティは低いのでキャストファンじゃないならおすすめはしない。
- 推しが出演している!というキャストファンの人
- 2.5次元作品が好きな人
映画『クロガラス1』が視聴できる配信サービス
- Netflix
- U-NEXT
- Amazon プライムビデオ(レンタル)
現在、Netflix、U-NEXTで見放題視聴が可能です!
映画『クロガラス1』ネタバレなしあらすじ
一攫千金を目指して歌舞伎町に踏み込んだ新人ホスト・和輝は、念願のナンバー入り目前で太客・舞衣に飛ばれてしまった。和輝には舞衣が残した600万円の売り掛けを払う金などなく、なんとしても、1週間以内に舞衣を探し出して金を回収しなければならない。
舞衣の行方に心当たりはなく途方に暮れていた和輝は、ホームレスから聞いた「解決屋」に助けを求める。
解決屋「クロガラス」のメンバーはたった3人、黒づくめの社長・黒斗、身軽でヤンチャな悠哉、凄腕ハッカー日菜。彼らは成功報酬300万円で依頼を引き受けると言う。和輝はその法外な依頼額に面食らうが、この追い詰められた状況では、ほかに道はない。
聞き込み、潜入、ハッキング、あらゆる方法で捜索を進めるうちに、舞衣失踪の裏に隠された歌舞伎町の闇が明るみになっていく。
映画『クロガラス1』ネタバレあり感想
舞台演技のミスマッチが低評価の原因
各レビューサイトでは、本作の演技評価がすこぶる悪い。作品を公的に紹介する各メディアも、「キャストのフレッシュな演技」と触れ込んでいる。
確かに、全体的に演技の荒さが目に付く。でも、これは「キャストの演技力が低い」の一言で片付けるには早計だと思う。
なぜなら主演の崎山つばさも、チャラい右腕役の植田圭輔も、2.5次元舞台では主役級のビッグネームで、場数で言ったら決してフレッシュな新人ではない。
むしろ、崎山は2.5次元作品からストレート作品に活躍の場を移しつつあり、2.5次元出身俳優の中でも演技の評価は高い。植田も公開時には俳優として10年以上のキャリアがある中堅だ。
なのになぜ、演技がこんなにも不評なのかというと、彼らの演技が舞台用だからである。
映像作品では、いかに画面の中の世界に実在していると思わせられるか、寄りのショットも多く、指先の動かし方に至るまでリアリティが求められる。
対して舞台では、観客から見える舞台上の俳優の姿は小さいため、大げさな仕草や表情、ピタッとキレ良く止まるアクションで各人物の感情の動きを表現しなければならない。
2.5次元俳優がメインキャストを占める本作は、演技が大仰でわざとらしく、対人アクションもお互い示し合わせたように不自然に止まる。フレッシュとは少し違うこの違和感が、演技の、ひいては作品自体の低評価の原因になっているのではないか。
もし、同じ内容を同じキャストで舞台でやったら、きっと映画よりも高評価が得られるはずだ。
一方、No.2ホスト拓海役の青木空夢は悪くなかった。2.5次元俳優としてはキャリアが浅く、舞台演技が身体に染み込んでいないのと、役柄が誇張された単純なキャラクターだったため、繊細な機微を表現する必要がなく演じやすかったのかもしれない。青木空夢はその後、2022年に俳優業を引退しているのが残念だ。
歌舞伎町デフォルメ作品として見れば案外いける
ホームレスへの差し入れが缶コーヒー、No.1ホストのスーツはしわくちゃ、ハッキング中にキーボードを叩く指は同じキーから動かない、アクションは寸止め感がバレバレ。
作中の突っ込みどころを挙げたらキリがない。だからといって、そこに特段不快は覚えないが、情報屋ホームレスへの差し入れは酒が似合う、これは譲れない!
危険と偏執がそこかしこに潜む、深海のごとき歌舞伎町のアングラ階層を、それっぽくデフォルメして配置した歌舞伎町が本作の舞台である。
ウシジマくんや新宿スワンと比べてはいけない。同じ世界線の話だと思ってはいけない。
ホストの売り掛けや、風俗斡旋など、社会問題を取り上げてはいるが、あくまでプロットを動かす要素として。何もかもオーバーなカリカチュア歌舞伎町での出来事とあらば、問題提起のインパクトは弱い。
だが、エセ感が強い世界観だからこそ、善人の顔で悪事を働く汚いやつらがきちんと成敗される痛快さがある。
80分の短尺で話もとんとん進み、ダレることなく、気づけば散らばっていた話がきれいにまとまっている。一切の無駄がなくテキパキと風呂敷を畳んでいく脚本は見事だった。
一つだけ腑におちなかったのは、高額な依頼料を払ってくれるなら、依頼主が悪人だろうがヤクザだろうが厭わないという黒斗が、たった100万円で加奈井の依頼を引き受けたという点。
翔から加奈井の依頼で回収した金はスーツケース一個分の大金で、これまでの黒斗なら成功報酬に半分よこせと言いそうなのに、加奈井には100万円で手を打つのか。相手が歌舞伎町の裏ボスヤクザとはいえ、あまりにも忖度しすぎじゃないか。
映画『クロガラス1』見どころ解説
見どころ①:各業界トップクラスの人気者が集結
出演キャストはいずれも、その界隈ではトップクラスの売れっ子ばかり。普段は違う業界で活躍する彼らが集まって、慣れない映画畑で一生懸命奮闘している姿は、ファンの胸を打つ。
特に2.5次元、アイドル、グラビア業界は、ビジュアルも個性も一般俳優・女優と遜色ないのに、日の目を浴びるチャンスはそちらより断然少なく、「もっと世間に認知されるべき逸材なのに!」という歯痒さが常にある。
なので、こうやって多くの人の目に触れるドラマ映画作品に出演してくれることは、ファンにとっても心から喜ばしいことだ。
クロガラスシリーズ4作とも、各業界を代表する人気者が集まっている。本業じゃないので演技はご愛嬌な部分もあるが、キャストの頑張る姿から最後まで目が離せない。
見どころ②:得体の知れなさが黒斗の魅力!続編に残る謎
「クロガラス」社長・神崎黒斗は、ラストでやっと名前が明かされるほど、謎多き人物だ。
解決屋と言いながら、ほとんど闇商売人のように大金を巻き上げていく。金さえ積まれれば相手が悪人だろうと依頼を受けるが、悪人は最後には割を食うように立ち回り、本当に困っている人にはこっそり手を差し伸べる優しさもある。
それは一見矛盾にも思えるが、「金さえ出せば依頼は完遂する」の一貫した行動原理を貫く姿勢は、実に主人公らしい。
ラストでは黒斗が元警官だったことが明かされ、彼の冷めた姿勢や、容赦ない行動には理由があることが仄めかされた。
- 警察だった黒斗の過去に何があったのか?
- 黒斗は何を目的にが歌舞伎町で解決屋をやっているのか?
- 黒斗が金に執着する理由は?
- 黒斗に助けられたという悠哉、日菜とのエピソードは?
続編『クロガラス2』に持ち越された謎は多く、次作からはこれらの謎が解決していくカタルシスも味わえる。
これを見ないなんて人生損してる!というほどの作品でもないが、『クロガラス1』を見てしまったら、この疑問をなあなあにしたまま切り捨てるにはもったいない。
乗りかかった船だ。短い尺の作品だし、深夜ドラマを見るような気軽な気持ちで、最後まで見届けようではありませんか!
映画『クロガラス1』主な登場人物・キャスト
解決屋 クロガラス
神崎黒斗(崎山つばさ)
– 解決屋「クロガラス」社長で、金さえ払えればどんな依頼も引き受けるという合理主義。いつも冷静で黒いスーツを着ている。
悠哉(植田圭輔)
– 「クロガラス」メンバーで陽気なムードメーカー。身のこなしが軽い上に観察眼も鋭く、優秀な実務要員。
日菜(最上もが)
– 敏腕ハッカーで「クロガラス」の紅一点。情報収集から潜入まであらゆる任務をこなす。酒に強く、強烈なパンチを持つ。
和輝(西川俊介)
– ホストクラブ「EDEL」新人ホスト。売掛金600万円を残して失踪した舞衣の捜索をクロガラスに依頼する。
舞衣(出口亜梨沙)
– 自称OLで和輝唯一の太客。売り掛けを残したまま、行方をくらましてしまった。
翔(南圭介)
– ホストクラブ「EDEL」代表で、No.1ホスト。部下からも信頼され、新人の和輝にも優しい言葉をかけ鼓舞してくれる。
加奈井(菅田俊)
– 暴排条例後も歌舞伎町で唯一力を持つヤクザ、加奈井組組長。
映画『クロガラス1』作品情報
作品情報
⚫︎ 製作国:日本
⚫︎ 尺:80分
⚫︎ 監督:小南敏也
⚫︎ 脚本:小南敏也
⚫︎ 撮影:海津真也
⚫︎ 主題歌:崎山つばさ『Re:quest』
⚫︎ 配給:エイベックス・ピクチャーズ
- 『娼年』(2018年) 助監督
- 『日日是好日』(2018年) 助監督
- 『星の子』(2020年) 助監督
- 『劇場版 それでも俺は、妻としたい』(2025年) 助監督
予告動画
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