これは、2025年一番「まさかこれほどまでとは!」なダークホースでした。
ストーリーは定石から寸分のブレもない”THE 王道”。王道のよさを、確かなクオリティでこれでもかと突きつけてくる。
とにかくド直球勝負なんです!大谷翔平?王道青春エンタメ界の大谷翔平なの!?
本当に信じられないことですが、超絶難易度の演奏は、すべて吹き替えなしで俳優さんたちが演奏しています。演奏シーンだけでも何度も見たくなる、最高の青春音楽ドラマだと保証します。
Netflixドラマ『グラスハート』の評価
総合評価 4.5 / 5 点
評価コメント:間違いなく、これが日本の王道青春エンタメの最高峰!
たっぷり予算と時間をかけて、実力ある俳優たちが本気で最高品質の青春音楽ドラマを作ったら、こんなとんでもない作品になることが証明されました!
佐藤健が企画から手がけ、自ら演奏・歌唱し、本気で作り上げたこの『グラスハート』。
ストーリーはありとあらゆる王道エッセンスを詰め込んだ、ベタな「THE 青春」作品ですが、映像・演技・音楽どれをとっても品質が桁違いに高いので、名作で目が肥えた人たちにもぜひ見ていただきたい。
ドラマオリジナル要素も混ぜたストーリーはベタすぎて、先の展開が読めすぎてしまうのと、感動盛り込みすぎで若干のくどさを感じたので-1減点。
劇中バンドTEN BNLANKは実際にデビュー、ドラマ公開同日にアルバムも配信され、視聴後も音楽とともに余韻を楽しめる、2025年の国内作品を代表する傑作です。
- 王道青春ドラマはお決まりパターンでおもしろくないと避けている人
- 音楽はK-POPよりJ-POP派な人
- バンド経験者
- デザート、別マ系の少女マンガが好きな人
- 『極悪女王』で女優・唐田えりかへの評価が爆上がりした人
Netflixドラマ『グラスハート』のネタバレなしあらすじ
大学生ドラマー・西条朱音は、所属していたバンドのデビュー条件が「男性メンバーのみ」であることを理由に、バンドをクビになる。雨の中、悔しさから衝動的にドラムを叩く朱音。すると、そこに誰かがピアノの演奏を重ねてきた。
3年後、朱音はあのときの即興セッションが忘れられず、しかしどのバンドにも所属できないまま、夢を諦めるギリギリ瀬戸際に立っていた。
ある日、朱音は指名を受けて配達に出かける。配達先の家で朱音を待っていたのは、天才音楽家・藤谷直季。藤谷こそが、あの雨の日のセッションの相手だった。
藤谷、ギタリスト・高岡尚、音楽クリエイター・坂本一至。業界で名を馳せる天才たちが集結した新バンド「TEN BLANK」に、朱音はドラムとして参加することになった。
藤谷の常人離れした音楽センスに、朱音はついていけずに苦戦する。だが、必死にくらいつく朱音のドラムの音は、徐々に周囲の人の心を動かし、朱音自身も自分の音楽を見つけ出していく。
最初のライブを成功させて以降、瞬く間にファンを獲得し、人気バンドとなったTEN BLANK。メンバー内の葛藤や外部からの圧力など、度重なる障壁を乗り越えながら、TEN BLANKだからこそできる音楽を追求する。
Netflixドラマ『グラスハート』のネタバレあり感想
王道のおもしろさ…認めざるを得ない!
「王道のエンタメを照れずにやりたい」と佐藤健が企画から手がけた本作。
2年前から準備が始まっていたとはいえ、その間も他作品に引っ張りだこで忙しかったろうに、歌唱も演奏も佐藤健本人がやっていて、隅から隅まで一切の妥協なし。
いつからか、意外な展開の連続するダークでストーリーの中に複雑な心理描写がある作品こそがおもしろく、キラキラな王道青春ドラマなど、ティーンか主演アイドルのファンが見るものという共通認識がありました。
人気マンガ原作の青春エンタメ作品に、新人俳優のぎこちない演技に低予算仕上がりの、”まあそれなり”な出来のものが多いのは否めません。
しかし、本作のこのクオリティの高さ。
たっぷり予算と制作期間をかけて、経験値の高い俳優が本気で向き合ったら、王道エンタメ作品はこれだけの逸品になることを佐藤健は証明して見せました。
彼の作品にかける熱意は、見る側にも「王道のおもしろさを照れずに素直に受け止めてほしい」と真摯に訴えかけてきます。
ここまでされては、完敗です。王道なんて…と言う隙がまるでありませんでした!
現実味がないストーリーだから心に刺さる
不快な雨さえもきらめきに変えてしまう、どこまでも曇りなくピュアで清らかな本作の感性。
真のヒールは井鷺だけ。しかも、甲斐ちゃんも井鷺も、「天才に潰された凡人」というエクスキューズがあり、悪役にも同情の余地が用意されている徹底した優しい世界。
こんなに簡単に成功したり、許されるほど、人生は甘くない。
確かに、平凡な女の子が、偶然、孤高の天才から見出されてのし上がるなんて、現実からかけ離れすぎています。
じゃあ、主人公がうまくいかず失敗続きで苦労したり、結局何も起きない平坦な作品だけが「リアルな作品」かというと、それは違う。
リアルな作品とは、作品の世界観や設定関係なく、現実に生きるこちら側の人間が感じる心の動きを的確に描き出す作品のはず。
朱音ちゃんが経験したシンデレラストーリーは、画面のこちら側の平凡な私たちが、かつて夢見た未来です。
私たちの心を照らし、奥底に隠れたきらめく何かを反射で一瞬また光らせてくれる。彼らと同じ気持ちになった日があったことを思い出させてくれる。それが音楽でも、恋愛でも、部活でも、あるいはぜんぜん違う日々の中だったとしても、あのとき、確かに。
これこそが、王道エンタメ作品が万人を惹きつける理由なのだと思います。
朱音ちゃんも、冒頭時点で、フェスに出られるレベルのバンドのメンバーだったし、決して凡庸な無名ドラマーではないと思うんだけど、朱音ちゃんの音を良しとする人もいればそうじゃない人もいて、音楽って人それぞれなんだなあ。
テレビなんか出てなんの得になるの?な時代
「HEY!HEY!HEY!」、「うたばん」、「Mステ」、平成の音楽テレビ番組で育った私には甲斐ちゃんのセリフは衝撃でした。
今は、「テレビなんか出てなんの得になるの?」な時代なんですね。確かに音楽アプリで聞いてるアーティストさんたち、ほとんどテレビ出てないもんな〜。そんな時代になっても歌番組の司会を続けるタモリさん、素敵。
本作の天才藤谷くんは、純粋に音楽を求めているのに、ビジネスライクなのが画期的でした。
青春音楽作品なら、ピンチに陥っても「誰がなんと言おうと自分たちの音楽をやるんだ!」と、大人の助言を無視して突っ走るのがお約束。
でも、藤谷はバンドが売れることを前提に考えているし、コネ利用、人気歌手・櫻井ユキノとのコラボ、人受けするアレンジだって厭わず、むしろ率先してやります。
多くの人に聞いてもらえて活動の幅が広がるという、メジャーで音楽をやるメリットを十分に理解している。藤谷のこのスタンスは、売れている人・売れていない人、どちらもたくさん見てきたろう佐藤健が達した境地なんでしょうね。
作中のキャラでは、高岡が光って見えました。お顔がスタイルがどうこうの前に、メンタルが。藤谷のすべてを全肯定して、リテイクで苛立つ藤谷との対話を放り出さない忍耐力、包容力、愛情、尊敬。全人類の隣にいてほしい生き物No.1。
そして、平成J-POPで育った私には、YUKIの登場は嬉しい驚きでした!撮影時点で50歳超えてるはずなのに、見た目は平成後期のままなことに目を疑いました。
藤谷の病気のくだりはドラマオリジナル
藤谷が脳腫瘍を抱えていて、これ以上音楽を続けると命に関わる…の部分はドラマオリジナルでした。
命に関わる病気も、王道エンタメの定番だし感動トリガーだけど、ベタのてんこ盛りでちょっとくどい気もしました。藤谷の病気が明らかになってからは、「はいはい、そういう感じね〜」と少し醒めてしまった感は否めない。
これは個人の好みだし、藤谷の病気がなくてもここまで十分素晴らしかったことには変わりないですが!
原作ものが実写化されたときに、病気死亡展開を追加されるとがっかりするパターンは割と多くて。
作り手が違う以上、「原作と実写作品は別物」と受け入れてはいるものの、キャラの繊細な描写を省いて、「さあ感動しろ」と言わんばかりに病気をドーンと掲げられると、このキャラのハイライトはここじゃない!と反抗したい気持ちになります。
Netflixドラマ『グラスハート』の見どころ解説
見どころ①:努力の成果が滲み出る圧巻の演奏シーン
『グラスハート』の見どころは、なんと言ってもまず音楽!
作中の楽曲は、RADWIMPSの野田洋次郎や[Alexandros]の川上洋平らが手がけています。曲に特徴も現れていて、これは野田さんが作った曲かな?と予想するのも楽しいです。
そして驚くべきことに、作中の演奏は吹き替えなしで、俳優さんたちが実際に演奏しています。
佐藤健のピアノの運指が、あまりにも滑らかで自然なので、疑いの目で指先を凝視してしまうほどに、完成度の高い演奏でした。
曲だけじゃなく、演奏シーンの身体の動きや表現も、いちアーティストとして魅力的です。
配信と同時に発売されたデビューアルバムに入っているだけでも10曲あり、曲製作中の名もなき曲を含めたら、かなりの練習量になるでしょう。それを、各々多忙な中で仕事と並行して練習していたんだから、頭が下がります。週休2日で仕事きついとかもう言えない。
活動はドラマ内だけにとどまらず、現実世界でもTEN BLANKとしてデビューしたということは、今後も新曲が出たり、イベントがあったりするということですよね。
続編の期待も込めて、TEN BLANKを応援していきましょう〜!
見どころ②:躍動を伝える縦横無尽なカメラワーク
手持ちカメラで自由自在に動き回る、縦横無尽なカメラワークも、本作を彩る特徴です。
大好きな音楽に向き合うTEN BLANKの生き生きとした高揚感や、演奏中に身体を満たす多幸感や浮遊感は、くるくる回ったり規則性なく揺れる映像で表現されます。
また、青春のきらめきや、藤谷の持つ危うげで儚い雰囲気は、背景をうっすらソフトフォーカスで映し出すことで演出されていました。
一方で、画面で目元だけにピントが合って、ほかはぼんやりしている映像では、自分の気持ちを語る藤谷の、意思の強さが強調されました。
ほかにも、雨の飛沫などに多用された数秒だけスローになるなど、緩急のはっきりした演出も作品にリズムをもたらしていて、感情の動きが映像からも感じ取れます。
Netflixドラマ『グラスハート』の主な登場人物・キャスト
TENBLANK
藤谷直季(佐藤健)
– バンド結束前から天才音楽クリエイターとして名を馳せていた天才。朱音のドラムに救われ、一人では出せない音を求めてバンドを結成した。
西条朱音(宮﨑優)
– 大学生ドラマー。所属していたバンドをクビになり、オーディションも落選続きで音楽を諦めかけていたところを、藤谷に誘われる。高岡曰く「煽りまくってくるドS」なドラム。
高岡尚(町田啓太)
– 名だたるスターバンドにサポートギターとして参加してきた実力派ギタリスト。藤谷のよき理解者であり、TEN BLANKの精神的支柱。
坂本一至(志尊淳)
– 孤高のトラックメーカーとしてネットで活動していたところを藤谷にスカウトされた。キーボード、ときにベースを担当する。
真崎桐哉(菅田将暉)
– 超人気ユニット・OVER CHROMEのボーカル。音楽に対する姿勢は熱く、尖った見た目に反して面倒見がよくファン想い。
櫻井ユキノ(高石あかり)
– 井鷺プロデュースの人気ソロアーティスト。自分の歌に揺るぎない自信を持つ。あることから井鷺に不信感を抱く。
井鷺一大(藤木直人)
– 音楽プロデューサー。かつて藤谷と組んでいたが、藤谷の曲を自分名義で発表し決裂した。藤谷への嫉妬と執着を抱えている。
甲斐弥夜子(唐田えりか)
– TEN BLANKのマネージャー。元々はボーカルとしてTEN BLANKに参加予定だった。朱音の加入を良く思っていない。
上山源司(竹原ピストル)
– 高岡とはサポートギタリスト時代から親交があり、甲斐の後任でTEN BLANKマネージャーに就いた。
有栖川真広(レイニ)
– オーヴァークロームのメンバー。真崎に面倒ごとを持ち込まれるのを嫌うが、真崎の才能は認めており敬語で話す。
レージ(山田孝之)
– バンドマン。高岡をメンバーに勧誘していたが藤谷の熱意を察して身を引く。
Netflixドラマ『グラスハート』の作品情報
作品情報
⚫︎ 話数:全10話
⚫︎ 企画/プロデユーザー:佐藤健
⚫︎ 監督:柿本ケンサク、後藤孝太郎
⚫︎ 監督:岡田麿里、阿久津朋子、小坂志宝、川原杏奈
⚫︎ 楽曲提供:野田洋次郎、Taka (ONE OK ROCK)、川上洋平 ([Alexandros])ほか
⚫︎ 劇伴音楽:高木正勝
⚫︎ 原作:若木未生『グラスハート』シリーズ(幻冬舎コミックス刊)
- 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2011年)
- 『心が叫びたがってるんだ。』(2015年)
- 『空の青さを知る人よ』(2019年)
予告動画
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