映画『ロンリー・プラネット』ネタバレ感想&考察:モロッコ行きたい人は見るべき映画!Netflix

Netflix映画『ロンリー・プラネット』のネタバレありレビューです。

海外旅行が好きな人は絶対モロッコに行きたくなってしまうので、覚悟して映画をご覧ください。

モロッコの美しい風景が疲れた心をグイグイほぐしてくれる本作は、リラクゼーション映画と言っていいかも!

記事トップ画像引用:Netflix

本記事はネタバレを含みます。まだ未視聴の方はご注意ください◎

映画『ロンリー・プラネット』の評価

※評価は主観によるものです

総合評価  2.8 / 5

評価コメント:開始5分で行けるモロッコ旅行

モロッコの美しい街並みや自然が主役!鑑賞者に美しいモロッコを見せるために、画面のすみっこで登場人物たちが恋愛してくれていると言ってもいいくらい。上から、下から、斜めから、いろんな角度で撮られた綺麗な風景を堪能できます。迷いを抱える男女が旅先で出会い恋愛に発展、というベタベタな展開で、ストーリー自体は物足りない感がありますが、そんなことは重要じゃない。これは、私たちをモロッコに連れ出してくれるために作られた映画なんだ!

  • 海外旅行が好きな人
  • 学生の頃は海外旅行によく行っていたが、仕事や結婚育児でめっきり行けなくなった人
  • ものすごく疲れている人
  • ハッピーエンドな恋愛映画が見たい人

映画『ロンリー・プラネット』が視聴できる配信サービス

  • Netflix

映画『ロンリー・プラネット』のネタバレなしあらすじ

世界的なベストセラー作家キャサリン・ロウは、執筆のスランプと私生活の崩壊に直面し、心の整理と創作の再始動を目的に、モロッコの高級リトリートにやって来る。

リトリートの参加者は全員が著名な作家たち。デビュー作のヒットで若手作家として注目されるリリー・ケンプも、胸を弾ませながらこのリトリートに参加。一方そんなリリーに付き添って参加した恋人オーウェン・ブロフィは、作家たちの輪にうまくなじめず、疎外感を募らせていく。

ある偶然から、キャサリンとオーウェンは静かな時間を共有するようになり、年齢も立場も違う二人の間に、不思議な共鳴が生まれていく。

創作、恋愛、キャリア、そして人生の意味。異国のリゾートを舞台に、それぞれが自分の「今」と向き合い、やがて新しい一歩を踏み出すことになる——。

映画『ロンリー・プラネット』のネタバレ感想・見どころ

これは”見る”モロッコ旅行

本作の見どころは、いや主役はなんと言ってもモロッコの風景!リゾートホテル周辺だから、自然の景観は綺麗だし、色鮮やかな街も心をときめかせてくれます。

オーウェンとキャサリンは、私たちにいろんなモロッコを見せてくれるためにバルコニーに出て、街にショッピングに行き、早朝ランニングをする。外での彼らは画面の一部、ほんの小さくしか映らない。

ドライブ中に窓から見える景色は、本当に車の速度で通り過ぎていくから、じっくり見る暇がない。でも旅行中の景色って実際そうですよね。本当に車に乗っている感覚になりました!

ホテルでいちばんゴージャスなキャサリンの部屋は、照明も暗く落としてリラクシーな雰囲気。夜ルーフトップでオーウェンが電話をしているシーンなんか、星がよく見えるように照明が暗過ぎて顔はほとんど見えません。

キャラクターたちが”盛れたか”より風景優先の映像で、彼らが実際に見ている風景をとことん再現してくれたおかげで、本当に自分が旅をした気がします。

この映像がなかったら、思ったより微妙な映画だったな〜で終わりそうでした。

「モロッコ行きたい」をもう10年以上言い続けている私は、思いがけず擬似旅行ができて想像以上に楽しめました。絶対に泊まれないセレブホテルにステイした気分にもなれたし。製作陣のモロッコ愛がすごい!

これが運命の恋かと言われると…

異国の豪華なリゾートホテルと見るもの全てが非日常的な風景という旅行マジックに背中を押されて、あれよあれよと恋愛に発展したキャサリンとオーウェン。

でも、お互いその人じゃなきゃだめだったという熱量のラブストーリーではなかった気もします。心に孤独を抱えた男女が、ちょうどいいタイミングで、ちょうどいい人と出会ったからあっさりくっついたというか。いや、むしろこっちのがリアルな恋愛の始まりか!

もっとドラマティックで、雨でずぶ濡れや強烈ビンタを経た大恋愛じゃなければ映画にしちゃいけないような錯覚に陥っていましたが、こんなスムーズにくっつく恋愛映画があっても、いいか。そりゃそうか。

ニューヨークで再会したあと、やっぱり自分たちの普段の生活の中で付き合ってみたらやっぱり違うねって別れたかもしれないし、モロッコだろうがニューヨークだろうが関係なく二人は幸せに過ごしているかもしれない。個人的には、オーウェンがキャサリンのマネージャーになってマネジメントとかしながら二人三脚でヒット作を出し続けていてほしい。

その後の想像を楽しむ余白がある、大人のリラックスラブストーリーでした。

孤独+暇が自分探しの旅の正体か

どうして人は自分を探すために旅に出るのだろう。その答えを、オーウェンが教えてくれました。

答えは、「一人でいると人は結局自分のことを考える」から。たとえ旅のスケジュールをパンパンにして、未知の体験に忙しくしていても、今日の自分を顧みて思考を整理する時間があって初めて、”新しい自分”に出会える思うんです。

言葉もわからない、話しかける相手もいない、観光以外することもない一人旅には、孤独と暇を持て余す時間が必ずある。ぼーっと座って景色を眺めているそのとき、いろんなことを考えるでしょう。仕事、人間関係、友人、両親、趣味、食べ物、夢、眠い…などなど。最終的に思考が内に向いて自分のことを考える。

オーウェンは今回、たっぷり時間をかけて心の奥に沈む本心を掬い上げ、決断したんだと思います。

人は孤独と暇を求めて、一人見知らぬ場所へ、自分探しの旅に飛び込んでいくんだと気がつきました。

 

映画『ロンリー・プラネット』のネタバレ考察・解説

タイトル”ロンリー・プラネット”の意味

“ロンリー・プラネット”っていう言葉は、正確にはないらしいです。”lonly”=寂しい、”planet”=惑星で、直訳すると”寂しい惑星”とか”孤独な惑星”になります。なんとなくニュアンスは伝わるし、それっぽい雰囲気もありますよね。

オーストラリアには『ロンリープラネット』という世界旅行ガイドブックがあります。英語版『地球の歩き方』みたいな。こちらのタイトルの由来は、創業者のウィラー夫妻がガイドブックの名前を考えていたとき。夫トニーが口ずさんだマシュー・ムーアの『スペース・キャプテン』の歌詞”lovely planet”を”lonely planet”と間違って歌っていたことから、生まれた言葉だそうです。

旅行という点で、映画にも少なからず影響はあると思います。

映画『ロンリー・プラネット』での、タイトルの意味を考えてみると。

英語planet(プラネット)の語源は、ギリシャ語の”プラテネス”=彷徨う人、惑う人。本作タイトルの”プラネット”はこの「彷徨う人」を指していると思われます。

登場人物たちは、実際に見知らぬ土地をいろいろ見ながら彷徨う(=探索)し、精神も不安や希望を行き来していました。

  • 作家として大成功していながらも本当の自分を見てもらえず、心は孤独なキャサリン
  • 恋人のリリーとの距離、リトリートでの疎外感、仕事もうまくハンドリングしきれず居場所がないオーウェン
  • 自分の成功を恋人が素直に祝福してくれず、へそを曲げるリリー

作中では特に彼らが”寂しさ”を抱えながら、彷徨ってますね。

太陽の周りを公転する惑星たちが、いつかピタッと重なる瞬間があるように、孤独な彼らが旅先でついに出会えたよろこびがタイトルに込められているのではないでしょうか。

破局の原因はライフステージの違いもある?

メインキャラ3人の年齢はそれぞれ、リリーは大学卒業後で20代前半、オーウェンは仕事も中心になって動かせる中堅ビジネスマンギリギリ20代〜30代前半といったところ。キャサリンを演じたローラ・ダーンは57歳だし、キャサリンは50代前半くらいでしょうか。

ライフステージが全然違う。ただでさえ年齢による価値観の違いは、古今東西あらゆる恋愛をぶち壊してきたのに、本作ではオーウェン以外のほぼ全員に”ベストセラー作家”という栄光まで乗っかっています。

20代前半リリーは自分の成功を喜んでくれずに拗ねている彼氏より、同じくベストセラー作家で対等なラフィフとのアバンチュールに走った方が楽しいのは当然とも言えます。さらに異国モロッコで、太陽は眩しく、いま自分は世界文学の中心にいる高揚感、そして砂漠1泊ツアーの決定打。

20代〜30代前半オーウェンはそろそろ結婚も考えるだろうし、仕事への向き合い方から責任感が強く真面目な性格とわかります。この前まで大学生だったリリーが、急に自分を大きく飛び越えてベストセラー作家になったこと、大ヒットでリリーが変わってしまったことに焦り・劣等・嫉妬などのモヤモヤした気持ちがある。けれど、リリーの成功を不満に思う自分も許せない。話すことで、気持ちがほぐれ進むべき道を示してくれる女性は、ステップアップしたい男性にとってミューズに他なりません。

夫と別れたばかりの推定50代前半キャサリンは、セカンドライフが始まったばかり。誰と遊ぼうが、相手が年下男性だろうが、誰に咎められることもなく自由です。

旅先で出会ったオーウェンが、大ベストセラー作家としてではなく素の自分で過ごせる貴重な人間で、彼とのセックスでスランプも脱したし、原稿盗難で絶望も分かち合った。これから幸せな日々が始まる、というワクワクの絶頂で一旦別れたことで、キャサリンの中でオーウェンが決定的な存在に美化されたようにも見えます。

ライフステージと価値観の違いによって、リリーとオーウェンはいずれ別れていただろうし、オーウェンはキャサリンのような誰かと出会い、キャサリンは恋のパートナーをそのうち見つけていたかもしれません。早い段階でそれぞれ出会いがあって、あるべきところに収まった感のあるラストでよかったです。

映画『ロンリー・プラネット』ロケ地

青い街・シャウエン

キャサリンとオーウェンがガイドツアーで行った青い建造物が美しい街は、シャウエンです。青と白のコントラストが美しい街並みは”メディナ”と呼ばれ、モロッコを代表する人気観光地です。

建物が青い理由は、見た目が涼しいから、イスラム教で神聖な色だから、虫除けのためなど諸説あります。

スーク

マラケシュのフナ広場北に広がる世界最大規模の市場。両側にところ狭しと広がる色鮮やかな品々が魅力的でした。

エッサウィラ

モロッコ西部の世界遺産に登録されている港町。キャサリンとオーウェンが防波堤に座って海を眺めていました。

映画『ロンリー・プラネット』登場人物・キャスト

キャサリン・ロウ(ローラ・ダーン)

– 世界的ベストセラー作家。夫と別れたばかりで家を追い出され、執筆場所を求めてリトリートに参加した。

オーウェン・ブロフィ(リアム・ヘムズワース)

– リリーの恋人で、仕事は金融ブローカーをしている。リトリートには付き添いで来ている。

リリー・ケンプ(ダイアナ・シルバーズ)

– 大学卒業後に書いたデビュー作が大ヒットした新人作家。

ユーゴ・ジャコネッリ(アドリアーノ・ジャンニーニ)

– イタリアのベストセラー作家。キャサリンとは若い頃付き合っていた。 

ラフィフ・アブド(ユネス・ブシフ)

– リビアの少年兵だった過去を持ち、回顧録が世界的ヒットを記録。リトリートでリリーと親しくなる。

映画『ロンリー・プラネット』作品情報

作品情報

原題Lonely Planet
製作年2024年
製作国アメリカ
96分
監督スザンナ・グラント
脚本スザンナ・グラント
撮影ベン・スミサード
配信開始日2024年10月11日

予告動画