2025年春ドラマ『夫よ、死んでくれないか』
不穏さを少しも隠そうとしない、堂々たるタイトルが気になって見始めたという人も多いのではないですか?例に漏れず、私もその一人です。
タイトルだけじゃなく、内容もだいぶエッジ強め。30代女性のライフステージの悩みが、隠している本音が、次々に晒されていきます。
1話開始10分だけで、もうおもしろいのが分かってしまった。私的、今期イチオシ作です!
本記事はネタバレを含みます。まだ未視聴の方はご注意ください◎
ドラマ『夫よ、死んでくれないか』作品情報
作品情報
⚫︎ 原作:丸山正樹『夫よ、死んでくれないか』(双葉社)
⚫︎ 脚本:的場友見
⚫︎ 監督:佐藤竜憲、進藤丈広、柿原利幸
⚫︎ 音楽:青木沙也果
⚫︎ 放送:2025/4/7〜 毎週月曜 23時6分〜23時55分
⚫︎ 放送局:テレ東
予告動画
主題歌
オープニングテーマ:Lenny code fiction『SUGAR』
エンディングテーマ:さとうもか『愛は罠』
ドラマ『夫よ、死んでくれないか』が視聴できる配信サービス
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ドラマ『夫よ、死んでくれないか』登場人物・キャスト
甲本麻矢(安達祐実)
– デベロッパー勤務。仕事に対する向上心が強く、子どものことをきっかけに夫・光博とすれ違う。
加賀美璃子(相武紗季)
– 明るくサバサバした性格で、夫の束縛に従っているように装っている。 仕事はフリーライター。
榊友里香(磯山さやか)
– 夫のモラハラに耐えながら、一人娘を育てている専業主婦。
甲本光博(財前輝之助)
– 麻矢の夫。合コンで麻矢と知り合い結婚したが、夫婦仲は冷え切ってしまっている。
加賀美弘毅(高橋光臣)
– 璃子の夫。一見エリートだが、璃子を溺愛し異常なほど束縛している。
榊哲也(塚本高史)
– 外ヅラはいいが、家ではモラハラ夫で友里香を罵る。友里香からは密かに”ガーベ”と呼ばれている。
榊哲也(久保田悠来)
– 麻矢たち行きつけのバーの常連客。麻矢と親しくなる。
立花瑤子(遊井亮子)
– 麻矢の上司。女性のキャリアについては昔体質な会社の中で、産後復帰してから役員候補にまで昇りつめた。
志村功(柳憂怜)
– 刑事。光博の失踪捜査を担当する。
鳥居香奈(松浦りょう)
– 麻矢の職場の後輩。麻矢を「憧れの先輩」として慕っている。
鴨下亮介(清水尚弥)
– 璃子の不倫相手。璃子より年下で小児科医をしている。
薗部康明(吉岡睦雄)
– 麻矢の兄。自宅に引きこもり暮らしている。
ドラマ『夫よ、死んでくれないか』最終回まで全話ネタバレあらすじ
第1話:私、夫を殺しちゃった…!
甲本麻矢(安達祐実)、加賀美璃子(相武紗季)、榊友里香(磯山さやか)の三人は、「切っても切れない絆」で結ばれている大学時代からの親友で、それぞれ結婚し家庭を持った今も定期的に集まっては”夫”の話に花を咲かせている。
三人は夫の愚痴でひとしきり盛り上がると、友里香は「一番の幸せは夫がお金を残して死んでくれること」だとこぼす。
麻矢と夫・光博の仲は冷え切っている。合コンで出会った二人は、以前は仲睦まじい夫婦だったが、いまは会話も少ない。子どもがほしい光博に対して、仕事のためまだ子どもはいらない麻矢。この考えの違いが、すれ違いのきっかけだった。
しかし、麻矢はベッドの口紅跡を見つけ、光博が自宅で不倫していたことが発覚する。光博を尋問中、友里香がただならぬ状況だと電話が入り、麻矢は話を中断して友里香の元へ駆けつける。
友里香の自宅では、友里香の夫・哲也が倒れていた。三人は動かぬ哲也を見おろしながら、この事件を隠蔽することを決める。…が、幸か不幸か、目を覚ました哲也は記憶喪失に陥っていた。
璃子の夫・弘毅は、璃子の位置情報を常にチェックし、外出時は10分おきに写真を送らせるほどの束縛夫。出張で数日家を空ける弘毅を見送った璃子は、隠しスマホを取り出して誰かに連絡を取る。
仕事のプロジェクトを女だからという理由で外され落ち込む麻矢へ、光博の勤務先から連絡が入った。光博は数日無断欠勤が続いていると言う。家にも帰っている様子はなく、不倫発覚の日に顔を合わせたのを最後に、光博は失踪していた。
第2話:主従逆転!偽りの幸せ
友里香は哲也からプロポーズされたときのことを思い出していた。かつて友里香に「家にいてくれることが幸せ」と語った哲也は、やがてその口で友里香を罵るようになった。しかし、今や記憶喪失の哲也。これを機に哲也を理想の夫に育て直すと決め、にっこり笑う友里香だった。
麻矢、璃子、友里香は光博の失踪について話す。璃子は「どんなことでも協力する」と言い、麻矢の脳裏には、過去、”正義のため”に行った三人だけの秘密がよぎる。山で何かを突き落とし、三人で喜びあった記憶ーー。
友里香は、同じ保育園に子どもを通わせる”のあちゃんママ”こと映美に、夫をしつけるコツを尋ねると「自分に自信を持つと、夫も尊重してくれるようになる」とアドバイスを受ける。友里香は早速、これまで哲也にされてきたモラハラをそのまま今の哲也にぶつけ、女王様よろしく満足げに笑う。
麻矢がバーに寄ってから帰宅すると、家に灯りが付いていた。光博の母・和枝(なかじままり)が、「光博と連絡が取れない」と押しかけてきた。合鍵を持っていたことに驚く麻矢を横目に、義母はなぜ警察に行かないのかと責め立てる。そして、「子どもを作らないからこうなる」と結論づけ、帰っていった。
翌日、麻矢が警察に届け出ると、この件はひとまず家出として処理された。しかし、応対した刑事・志村はただの失踪じゃないと疑いを抱いたようだ。
麻矢のスマホに光博からメールが入る。メールには、笑顔で写る光博と璃子の写真が添付されていた。光博の不倫相手は璃子だったのか、と驚愕する麻矢は、その足で璃子宅へ向かう。
璃子の家では、夫・弘毅が予告なしに出張を早く切り上げて帰宅していた。そうとは知らない璃子は入浴中、スマホをチェックした弘毅は、璃子のスマホから送信されたあるものを見つけて絶叫する。
第3話:嘘だらけの人生
お互いに一目惚れで、出会ってすぐに璃子と弘毅は結婚した。しかし結婚後、弘毅の愛は歪にゆがみ、今ではすっかり束縛夫になってしまった。璃子のスマホを盗み見て暴れ狂う弘毅に、璃子は「もう嫌、死んで」と呟く。
光博と璃子の不倫を疑う麻矢が璃子の家を訪ねると、璃子が飛び出してきた。ただならぬ様子に異常を察知した麻矢は、璃子を外へ連れ出す。
光博の不倫相手は璃子ではなく、ツーショットの写真は街で偶然会ったときに撮ったものだった。璃子には別の不倫相手がいると言う。麻矢の誤解は解けたが、光博失踪の謎はますます深まった。
光博の勤務先から「光博からメールがあった」と知らされた麻矢は、生存確認ができたことにひとまず安堵する。が、刑事の志村は、なりすましの可能性を示す。
麻矢は会社の既婚者代表として転職サイトのインタビューを受けることになった。夫との関係を尋ねられ、夫婦仲は円満だと嘘を答える麻矢。上司の瑤子からインタビュー記事に嘘はないかと尋ねられ、キャリアのためにも光博の失踪を会社に隠し通さねばと決意を固めた。
記憶喪失の哲也は、友里香の教育によって良い夫に育ちつつある。育児・家事はもっぱら哲也の担当になり、ママ友からの羨望を受け、日々に充実感を覚える友里香だった。しかし、とうとう記憶を取り戻した哲也は、鬼の形相で入浴中の友里香の元へ向かった。
璃子は不倫相手・亮介とホテルで密会していた。「今日はホテルのラウンジで仕事だ」と聞かされていた弘毅は、璃子のいるホテルに現れる。そうとは知らず、璃子と亮介は、エレベーターで弘毅のいるロビーに降りていく…。
第4話:束の間の有頂天
仕事中の璃子に会いにホテルまで来た弘毅は、ちょうどエレベーターから降りてきた璃子を見つけ声をかける。璃子はとっさに亮介の腕を離して他人のふりをしたおかげで、弘毅に亮介との関係を勘付かれることはなく、胸を撫で下ろす。
麻矢の会社に警察から電話が入った。後輩の香奈から「警察から電話」と聞き、光博の失踪が会社にバレてしまうと動転する麻矢だったが、内容は「地域住民から会社宛てにイベント騒音のクレームがあった」という報告だった。
麻矢が帰宅すると、家の前に兄・康明(吉岡睦雄)が待っていた。康明はしきりに光博のパソコンを気にしている。麻矢が「パスワードがわからないからパソコンは調べていない」と言うと、納得した様子で帰っていった。引きこもりの兄と光博の接点がわからず、突然の兄の訪問を訝しむ麻矢。
そんな中、麻矢は会社の新企画を任されることになった。うまくいけば、1000店舗を超えるBIGプロジェクトになると聞き、願ってもないチャンスに香奈と喜び合う。
一方で、麻矢にはヘッドハンティングの話が来ていた。先日のインタビュー記事に目を止めた業界最大手・勝田ホールディングスから、新事業のサブリーダーポジションでのオファーだった。インタビューで語った内容が嘘であることに後ろめたさを感じる麻矢は、任された新企画のこともあり、このタイミングで転職していいものか頭を悩ませる。
バーに集まった麻矢・璃子・友里香は、各々の幸せな近況報告をしながら楽しく酒を交わし、気分よく帰宅。しかし、3人を待っていたのは地獄の始まりだった。
璃子が外出中、隠しスマホを見つけた弘毅は、璃子に説明を求める。誤魔化そうとする璃子だったが、タイミング悪く亮介からメッセージが届いてしまい、ついに不倫が発覚。弘毅は狂ったように声をあげる。
友里香が帰るなり、哲也は友里香のバッグから盗聴器を取り出す。今日の3人の会話は哲也に筒抜けだった。「あの時は本気で死ねって思った」と高らかに語る友里香の音声を突きつけ、ニヤリと不気味にほくそ笑む。
帰宅した麻矢は、刑事・志村から電話で「光博が事件に巻き込まれた可能性がある」と聞かされる。
第5話:追い込まれた妻たち
麻矢の自宅近くの公園のゴミ箱から光博の財布と免許証が見つかった。警察は光博の失踪を事件性ありと判断し、調査員による捜索が開始された。夫が事件に巻き込まれたと聞いても、落ち着き払った態度を崩さない麻矢に、志村は違和感を感じたようだった。
友里香から電話で呼び出された麻矢と璃子。友里香の家では、哲也が待っていた。”あの夜”3人が、死んだ(と思った)哲也を遺棄しようとしたこと、特に友里香には明確な殺意があったことを語る哲也を前に、3人はうつむくしかなかった。そして哲也は、友里香を警察に突き出さない代わりに2000万円を麻矢と璃子に要求した。
不倫がバレて以降、璃子は弘毅によって軟禁されていた。「弁護士を介して離婚を話し合おう」と璃子の言葉を、弘毅は狂乱の態度で跳ね返す。璃子が諦めるまで軟禁をやめようとしない弘毅の異常さに、うんざりする璃子だった。
麻矢の自宅へ、義母と義妹・早希(桜木梨奈)が押しかけてきた。光博が事件に巻き込まれたというのに、平気で生活を続けていると麻矢はおかしいと責める2人。
麻矢の冷静な態度を怪しむ志村は、部下に麻矢の前科を調べさせるも、麻矢に前科前歴はの記録はなかった。
ヘッドハンティングのオファーを正式に受けることにした麻矢。仕事が軌道に乗りつつあるのに、”光博の失踪”と”友里香の解決金2000万円”がプライベートに暗い影を落とす。陰鬱な気分の麻矢にとって、バーで千田(久保田悠来)と話すことが束の間の癒しになっていた。
千田との会話で光博との幸せだったころを思い出した麻矢。光博のパソコンのパスワード画面にデートで行ったおでん屋の店名を打ち込むと、なんと、ロックは解除された。麻矢は驚いた様子で画面を見つめる。
璃子と連絡が取れず心配した亮介が、璃子の家を訪ねてきた。不倫相手の登場に、乱心の弘毅は亮介の首を締め上げる。その騒ぎの中で気を失って倒れた璃子は、搬送された病院で医師から妊娠2ヶ月であることを告げられる。
第6話:友情決裂
結婚後しばらく経っても、璃子と弘毅のあいだには子どもができなかった。検査の結果、弘毅に原因があることが判明した。つまり今、璃子のお腹の中にいるのは亮介との子なのだ。
弘毅は、二人の子だと喜び、璃子がどんなに言い聞かせても聞き入れようとしない。弘毅から逃げるように、璃子はひとまず亮介宅へ身を寄せる。しかし、弘毅は手作りのスタミナ料理を手に、亮介宅まで押しかけてきた。亮介の存在を完全に無視して璃子との世界に入り込む弘毅には、璃子の「別れたい」という言葉は届かない。
麻矢は光博のパソコンにログインできたが、なんの手がかりも得られず途方に暮れる。さらに義母からの鳴り止まない怒涛の鬼電話にも辟易していた麻矢は、気晴らしに千田とバッティングセンターに行く。
電話に出ない麻矢にしびれを切らした義母は、ついに職場に乗り込んできた。同僚からの好奇の視線に耐えかねた麻矢は、義妹を呼び出し、光博の不倫を打ち明けた。そして、「光博はおそらく不倫相手のところにいる」と、義母に伝えてほしいと頼む。
かねてより麻矢に不信感を抱いていた早希は、兄の不倫を聞くや、その足で警察に向かい麻矢の不審を訴える。志村は本腰を入れて麻矢の調査に乗り出すことを決めた。
麻矢の退職届を、上司の立花はあっさり受理した。立花のあまりにも薄い反応に、麻矢は「いかにこの会社で女の自分が評価されていないか」を思い知るのだった。転職先との雇用契約も無事に結び、帰宅した麻矢を、友里香と璃子が待っていた。
哲也によって娘の結菜(日下莉帆)と引き離された友里香は焦っていた。哲也への慰謝料3,000万円を専業主婦の友里香に用意できるはずもなく、頼みの綱の麻矢と璃子も自分のことで手一杯。三人はとうとう言い争いの喧嘩になる。
子どもを産み亮介と育てたい璃子、結菜を取り戻したい友里香は、夫をこの世から消し去るしかないと言う。困惑する麻矢は、三人である人物を殺めたあの日のことを思い出すーー。
第7話:過去の秘密と絆
大学時代、サークルのコンパで出会い意気投合した麻矢、璃子、友里香は、卒業旅行で行ったキャンプで、山で迷っていたところを男二人に声を掛けられる。成り行きで彼らとバーベキューをすることになった。男の一人は麻矢を気に入ったらしく、深夜に二人で抜け出して星を見に行くことに。
深夜、麻矢がいないことに気づいた璃子は、友里香を連れて麻矢を探しに出る。麻矢の叫び声を聞きつけて、山小屋に入った璃子と友里香の目に飛び込んできたのは、麻矢に馬乗りになり、今にも服を脱がそうとする男の姿だった。
璃子は男に殴りかかり、友里香はクマ撃退スプレーを男の顔に噴射。そして麻矢は、小屋にあった熊の置き物を掴み、男の頭に振り下ろした。頭から血を流して倒れた男を見下ろしながら、三人はこの件を隠し通すことに決めた。
三人は山中の崖まで男を引きずって行き、突き落とした。崖下まで降りて確認すると男は完全に事切れていた。この日から、三人は切っても切れない深い絆と秘密で結ばれている。男の死亡は事故死と報じられ、この夜三人がしたことは誰にも知られることはなかった。
夫を消す作戦を立てた三人が、最初の標的に選んだのは友里香の夫・哲也。友里香は哲也に慰謝料3,000万円の手付金として金を渡して油断させ、璃子は亮介に頼んで睡眠薬を用意した。しかし、遺体を埋める場所を探す担当の麻矢と連絡がつかなくなってしまう。
麻矢は、転職エージェントから内定取り消しを告げられていた。夫・光博の失踪を麻矢が隠していることを何者かが密告。麻矢への信用を失ったことが内定取り消しの理由だ。現在の会社ではもう退職準備が進んでおり、最悪のタイミングでの内定取り消しだった。
光博のパソコンに届いたオンラインゲームのフレンドログイン通知を開いた麻矢。さらにフレンドからのチャットが届く。そのフレンドとは、なんと麻矢の兄・康明だったーー。
第8話:私たちの正体
光博と康明とのチャットは光博失踪してからも続いていた。光博の居場所を問いただすべく、麻矢は康明のいる実家へ向かった。
康明の話によると「光博は麻矢が自分に死んでほしいと思っている一方で、麻矢との関係修復を望み、悩んでいた」ようだ。長男として期待に応えられず、ついには引きこもりになった康明は、幼いころから麻矢が羨ましかったと語り、麻矢の冷酷で利己的な性格を責める。
璃子と友里香は、それぞれ夫を油断させるため、反省し気持ちを入れ替えたように振る舞っている。刑事・志村は麻矢だけじゃなく璃子と友里香も張っているが、今のところ疑わしい点はない。
光博が自分と同じく、夫婦関係の修復に悩んでいたことを知り、驚きと寂しさを抱いた麻矢は、光博との思い出の場所を巡る。まだ中が良かったころ、二人で行ったおでん屋を訪ねると、店主は麻矢のことを覚えていてくれた。そして、光博が先週店に来たと聞かされる。光博は青いバッグを持った女性と一緒だった。
光博とその女性は、三人組についての会話をしていたという。光博が、「麻矢たち三人の会話を知っていたこと」と女性の持っていた「青いバッグ」から、麻矢は光博の不倫相手は友里香ではないかと疑いを抱く。
第9話:裏切りの協奏曲
友里香と麻矢はこれまで、お互いへの軽蔑をときどきチラつかせながらも、気づかないふりで上部を取り繕って接してきた。友里香の裏切りに、麻矢はとうとう友里香との決別を選ぶ。
璃子は亮介の「子どもを堕ろして璃子と二人でいたい」という言葉にショックを受ける。どうしても子どもを産みたい璃子は、亮介との関係に迷いが生じていた。そんな中で、弘毅がこれまで自分のせいで子どもができないことへの絶望と心苦しさを抱えていたことを知る。
友里香は哲也に従順に振る舞いながら、内心では我慢の限界を迎えていた。麻矢と璃子の非協力的な態度に苛立ちも募っていく。哲也に「何もできない女」と罵られた友里香は、作戦の決行を決意。酔い潰れて眠る哲也に向かって金槌を振り下ろす。
麻矢のヘットハンティングの内定は取り消しになり、熊部エステートに残ることになった。しかし、元のポジションは後輩・香奈に奪われ、麻矢に回ってくるのは設備故障の対応など小さな仕事ばかり。気晴らしにバッティングセンターに行くと、千田も来ていた。
千田との帰り道、千田は名残惜しそうに麻矢の腕をつかんで引き止めるが、麻矢は毅然とした態度で拒否を示す。麻矢が家に帰ると、窓から灯りが漏れている。室内には、光博の姿があった。
第10話:夫との再会
失踪していた光博が帰ってきた。光博の不倫相手は友里香ではなくゲームで知り合った人で、今までその相手のところに身を寄せていたのだと言う。心を入れ替えた様子の光博は、「もう一度向き合ってほしい」と麻矢に頭を下げた。
翌朝、麻矢は璃子からの電話を受け、急いで友里香自宅に駆けつける。友里香の家は立ち入りが禁止され、警察による現場捜査が行われていた。麻矢と璃子は、まさか本当に友里香は哲也を…?と不安を抱えたまま、警察の聴取に応じる。
逮捕されたのは哲也だった。友里香は酔い潰れた哲也を金槌で殴ろうとしたが、すんでのところで哲也は目を覚ました。取っ組み合いの末、友里香は頭を打ち倒れてしまい、命に別条はないものの意識不明の状態が続いていた。
璃子は子どもを産むことを選び、亮介に別れを告げた。友里香も意識を取り戻し、麻矢・璃子・友里香の三人は、それぞれの家庭トラブルがひとまず解決したことを喜び合う。
千田からの誘いを受けた麻矢は、千田に「光博ともう一度向き合うため、会うのはこれで最後にしたい」と伝える。すると千田は表情を一変させ、麻矢たち三人が15年前に山で男を殺害したことを知りながら、これまで麻矢に近づいていたことを明かした。
15年前あの日、男たちは千田も含めて三人組だったのだ。山小屋の外で見張りに立っていた千田は、麻矢が男を殴る瞬間や山に遺体を突き落とす動画を撮っていた。その動画をバラされたくなければと、麻矢に服従を迫る。
第11話:曖昧な赤い糸
動画をネタに脅して麻矢を支配した千田には、15年前の事件について誰にも明かしていない秘密があった。
麻矢、璃子、友里香の3人が山で男を遺棄したあの日、千田が崖下に横たわる男の様子を見に行くと、男はまだ生きていた。男に恨みを抱いていた千田は、助けを求める男をさらに殴って息の根を止めた。あの日、男を○したのは、麻矢たちではなく千田だったのだ。
千田に呼び出されホテルに向かう麻矢に、千田から着信があった。かけてきたのは千田本人ではなく、千田の妻。「もう私たちに関わらないで」と一方的に告げ、電話を切った千田の妻の前には、血塗れで横たわる千田の姿があった。千田の妻は、友里香憧れのママ友・映美(新山千春)で、映美の語る幸せな家族像はすべて嘘だった。
友里香と璃子は離婚を選んだ。
一方、光博とやり直すことを決めた麻矢。後輩・香奈が退職することになり、お礼として香奈からプレゼントされた香水を嗅いだ麻矢は、光博の不倫相手は香奈だと気づく。麻矢が問い詰めると、香奈はすべてを認めた。
光博が麻矢の「○ね」という言葉に傷付いていたことを知った麻矢は、光博と香奈の不倫の事実を受け入れた上で、改めて光博と向き合おうとする。そして週末、光博の提案で、夫婦でキャンプに出かけた。
最終話:運命の人
光博と麻矢は山へキャンプに出かけ、自然の中を歩きながらお互いの不満を正直に打ち明け合う。心の内を明かしたことで、麻矢は新たな気持ちで夫婦二人やり直すことができると思えた。
友里香の前に、接近禁止令を受けているはずの哲也が現れた。哲也の謝罪を友里香は受け入れず、哲也は「お前一人じゃ稼いで行きていけないだろう」と捨て台詞を吐いて、警察に連行されて行った。
弘毅と離婚を決めた璃子は、荷物を持って家を出ていく。その道中、璃子を庇って弘毅が車にはねられてしまう。弘毅は無事だったが、弘毅の”璃子を思う気持ち”に胸を打たれた璃子は、「三人で生きていこう」と弘毅とやり直すことを選ぶ。
キャンプ2日目の朝、光博は「見せたいものがある」と麻矢を連れ出す。辿り着いたのは海辺の崖。「麻矢を愛してるからこそ、自分に”死ね”と言ったことが許せない」と、光博は麻矢の首を締める。
麻矢は咄嗟に光博の頭に石を振り下ろし、よろめく光博を崖下に突き落とした。そこへ野生の熊が光博に襲いかかり、光博は声一つあげず熊の餌食になった。
光博の死は事故として処理された。光博の入った火葬炉の前で半狂乱で泣き笑い声を上げる麻矢。
季節は秋になり、友里香はシングルマザーとして仕事に育児に忙しい日々を過ごし、璃子は出産を間近に控えている。麻矢・璃子・友里香の三人は、熊鍋を囲みながら「これから幸せになる」と誓い合った。
ーー 完 ーー
ドラマ『夫よ、死んでくれないか』ネタバレあり感想
「私はちっとも悪くない」を叫ぶ妻たち
この主人公たちが抱える悩みはすべて夫に原因があって、「夫さえいなければすべて解決!」と彼女たちは思っていますが、はたから見ればこの女たちも結構、いや、だいぶこじらせています。
今作で第3弾となる“全夫が震える”シリーズは、夫3人のダメさを批判する…と見せかけて、夫を震わせるだけの威力を持つ妻の闇深い心を描いていて、それが共感できすぎてしまう!
麻矢は他人への関心が薄くて利己的。璃子は賢く能力も高いから、うまく誤魔化しながら不倫に逃げるばかり根本(束縛夫)をどうにかしようとはしない。友里香は他力本願で、自分の社会的価値の低さを自覚しながらも他者を貶めることで心の穴を埋めようとします。
そして、彼女たちには最終奥義「正義の名の下に悪を抹消」があるから、自分自身の悪いところを正そうという考え自体がないように思えます。
最初は夫たちに問題があるように見えたけど、結婚生活を深堀りしていくにつれて、妻側の問題が炙り出されていくのがこのドラマのおもしろいところ。
彼女たちが選ぶ選択がなんであれ、問題の原因が自分にもあることに気づき、それを解決するのが本作の行き着くラストだと思っていたんですが…
最後まで妻たちは自分に非があろうなど考えもせず、責任を夫になすりつけて夫たちをねじ伏せてしまったのでした。さすが、「こう納まったら綺麗だろう」と予想していた結末を気持ちいいほど裏切ってくれるテレ東ドラマ。
夫たちを憎めないけど許せはしない
三者三様にダメ夫な3人ですが、見ていてあまりイラつかないのは、夫たちがそれぞれ出し抜かれたり痛い目にあったりしているからだと思います。言ってること最低な哲也なんて、チェックのおかんエプロン姿が可愛く見えてしまいます。笑
璃子を海よりも深く愛する束縛夫の弘毅は、璃子だけを見ているようで、璃子のことをまったく見ていない。それでも弘毅本人はとても楽しそうで、二人は幸せの絶頂にいると思い込んでいる。それは、弘毅の後ろめたさが原因だと後から発覚するのですが…。弘毅が狂うほどコメディの様相を呈してきて、弘毅はすっかり憎めない男に格付け完了です。

なんでこんな相手と結婚するのか…は当然の意見ですが、モラハラ哲也も束縛弘毅も、結婚する前はまるでそんな予兆がなかったのがポイントなんですよね!そもそも落としたい相手に本性を晒す人間などいない。むずかしい、人間関係。ただ、好きになった相手に人生潰されるなんて、あんまりです。
麻矢の夫・光博は、他の二人に比べて、結婚前から人となりがわかりやすかったのではないでしょうか。コミュ障、というか人との距離の詰めかたが独特です。ふわふわほわほわとした雰囲気の中に、強いこだわりを隠している人。
このテの男は少女マンガにも天然不思議王子として一定数存在するし、わりと好きな人多いですよね?(あっ私は優雅でスマートなプリンスタイプが好……
ただ、どんなに夫たちが憎みきれない愛嬌があっても、それぞれ妻にしたことは笑って許すことはできません。長い間、妻に苦痛を与えていたことが、ちょっと弱い顔をみせたことでチャラになるわけじゃない。
哲也は家族を失い暴力夫のレッテルを貼られて生きていき、弘毅も血の繋がらない子だと悩みながら育てていく。そして光博は…。夫たちがしたことをなあなあにしないで、ちゃんと彼らに罰を与えたところまで、本作は本当に良かったです。世の夫たちは納得いかないだろうけど…
これに共感できない30代女性いる?
サスペンスかなと思って軽い気持ちで見たら、現役30代女性にグーパンチ連続殴打の衝撃作でした。このリアリティ。何度も思ったことあるし、誰かの口から聞いたことある話ばかり。
30代女性はぜひ見てほしい、いま20代の人も30代になったときに見てほしい!40代以上の人も、このとき自分は、時代はどうだったか思い出しながら見てほしい。つまり、全女性に見てほしい。
そして、できれば男性も。女性はこんな悩みや理想を抱えながら、人生の選択をしているのを、知ってくれたらありがたい。
結婚するorしない、仕事を続けるor辞める、子どもを産むor産まない。女性にはいろんな、決断をしなきゃいけない分岐点があって、そのどれを選んでも人生が大きく変わるし、どれを選んでも悩む。自分が選ばなかった道を歩んでる人を見て、羨ましくなったりもします。
女性の悩みは自分だけで解決できないことも多く、どうにもならない状況はしんどい。しんどいから、夫のせいにしたくなる。
でもこのドラマを通して、生きにくさを感じているのは自分だけじゃなくて、わりとみんな同じようなモヤモヤのふんわりした塊を抱えて生きていることがわかるだけで、気が楽になる気がするのです。
ドラマ『夫よ、死んでくれないか』ネタバレあり考察・解説
【解説】麻矢たちが隠している過去の「秘密」
麻矢、璃子、友里香の三人は、過去に協力して”なにか”をし、それが三人を結びつける絆となっていることが仄めかされ、1話〜6話に至るまでキャンプの過去回想シーンが繰り返し挟み込まれていました。
▼ 時折差し込まれる回想描写で映っていたのはこちら。
- 山で下を見下ろす三人
- 湖をじっと見つめる三人
- 湖に向かってガッツポーズ&喜びを爆発させる三人
- 麻矢、璃子の顔にはあざがある
- 男の後ろを付いて歩いていく麻矢
- 木彫りの熊の置き物を掴む手
そして、ついに7話で三人の抱える秘密の全貌が明らかになりました!
三人で大学卒業旅行のキャンプに行ったときのこと。山で迷っている三人に声を掛けてきた男から、麻矢が性被害を受けそうになった。身を守るため、麻矢は咄嗟に熊の置き物で男を殴殺してしまい、三人で男を崖から転がり落として事故死に見せかけ、事件を隠蔽した。三人は湖に向かって叫び、自分たちがしたことは「正義」だと言い聞かせる。
【考察】光博失踪の真相と不倫相手の正体
光博の行方と、事件の真相や関わる人物についての考察です。
①光博の不倫相手は友里香?正体は…!
光博の不倫相手は「友里香」では?という疑いが浮上していましたが、10話で不倫相手は友里香ではなくゲームで知り合った人だと、光博が明かしました。
→ 11話で発覚した不倫相手の正体は…麻矢の会社の後輩・香奈でした。
不倫相手発覚のきっかけは、香奈が麻矢に贈った手作りの香水。シーツと光博の身体に残った香水の匂いと同じだったため、麻矢は相手が香奈だと気がつきました。
香奈はかねてより麻矢を嫌っていました。”弱ってるおじ”好きの香奈は、麻矢宅で鍋パーティーをしたとき光博がゲーム好きなことに目を留め、後日ゲームのボイチャで光博に接近。”麻矢は光博に「死ね」と思ってる”と吹き込み、光博が自分に頼るように誘導しました。
光博は失踪中、不倫相手の家(=香奈の家)に身を寄せていたと、戻ってきたときに証言しています。
友里香が疑われたのは、①光博が麻矢たち三人の会話を知っていたこと、②光博がおでん屋に連れてきた女性が水色のバッグを持っていたことが根拠でした。
8話内、友里香が謎の男性と二人でカフェにいるシーンがありました。まさか光博と?と疑いの声が上がりましたが、実は街でティッシュ配りの男に声をかけ、1万円を渡す代わりに、夫とのデートに見せかけて写真を撮らせてもらっていたのでした。
②千田の接近と光博の失踪には関係がある?
光博が失踪して以降、バーで麻矢に近づいてきた千田にも怪しい香りが漂っていましたが、10話で千田は麻矢たちの15年前の事件を知っていた第三の男だったことが判明しました。最初から、登場するタイミングが怪しい。そして、麻矢に夫の話をさせながら、それとなく心の距離を詰めてくるのも怪しい。千田が自分のことを何一つ語らないのも怪しかった。
光博の失踪前に麻矢・璃子・友里香がバーで飲んでいたときも、千田は麻矢たちをじっと見つめていました。そのときすでに、明確な目的があって麻矢たちを見ていたんですね。
以前、璃子は買い物中に、光博とばったり会っています。場所はおしゃれな商業施設。なぜ光博がそんなところにいたのか謎のままです。とても、麻矢の兄との密会場所にはなりそうもありませんが、千田ならあんな場所にいてもしっくり来ます。
以前友里香が、光博が公園でしょんぼり座っている姿を目撃していましたが、麻矢の過去を知る千田に脅され、今回の失踪を持ちかけられた…とも考えられます。
11話ラスト、光博は麻矢をキャンプに誘い山に向かいました。光博もまた、あの事件に関係があるのでしょうか?
③光博は本当に不倫をしていたのか?
そして光博は本当に不倫をしていたのか、という点。光博にはとても不倫をする甲斐性があるようには思えないのです。
- 麻矢曰く「友達がいない」
- 家にいるときはゲームをしている
- 過保護な母と妹に大事にされて育った
麻矢と出会ったときの合コンも「初めて参加した」と言っていますし、男女交流に積極的なタイプとは言い難いです。
光博はゲームで知り合った相手だと言っていますが、実際は光博は不倫していなくて、シーツの口紅にはほかの理由(女性と取っ組み合いになった、不倫しているように見せかけるカモフラージュだった等)があるんじゃないかと予想します。
→麻矢の後輩・香奈の企みで、香奈に誘導されるがままに不倫していたことが11話で明らかになりました!
④光博と兄はオンラインゲームで交流があったと判明!【7話】
麻矢の兄・康明が、光博の行方と光博のパソコンをしきりに気にしていたことから、麻矢の兄が光博の失踪に関係しているのは間違いないでしょう。
→7話、光博と康明はオンラインゲームでチャットを介してやり取りしていたと判明!
光博と康明はオンラインゲームでチャットを介して交流しており、ゲームの会話だけじゃなく、仕事の愚痴もやり取りしていたようでした。
ただ、おそらく康明は、「光博が失踪中どこにいるか」や「誰と不倫していたか」は知らなかったと思います。わざわざ家まで来て麻矢に光博の無事をチラつかせたのは、麻矢への嫉妬から麻矢を傷つけたかったのでしょう。
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