【続編熱望】Netflix『イカゲーム』シーズン3ネタバレ感想&考察|辛すぎる結末に託された望みとは

ああ…ついに、『イカゲーム』が完結ですってよ。

ギフンが一生勝ち残ってゲームを続けてくれればいいのになあ〜と、きっとみなさん思っていましたよね?

シーズン3はどの回も辛すぎました。でも毎話本当に楽しみました。結末は悲しかったけれど、こんなに感情がスパークする作品はほかにない!

F私たちはこの結末を受け止め、ギフンの託した願いと希望を胸の奥底に忍ばせて、資本主義の現実を今日も生きていきましょう。

Netflix『イカゲーム』シーズン3の評価

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総合評価  4.3 / 5

シーズン3はとにかく暗い。生き残ってほしい優しい人たちが次々に死んでいくのに、もう退場してほしい嫌な奴ほどずっと残っているのがまた腹立たしい!

ストーリーは人類が思いつくかぎり最悪の展開で進んで行きます。

だからこそ、苛烈で容赦ないゲームの中においても思いやりを忘れない人たちが見る側に投げかけるメッセージは強く、胸に残ります。

本当に、毎話、想像を超えてくる!このおもしろさ、21世紀屈指のドーパミンドバドバの超娯楽作品だと断言できます。

  • 『パラサイト半地下の家族』、『ファイト・クラブ』がおもしろかった人
  • ドラマや映画で受けた衝撃を翌日まで引きずるタイプの人
  • 母親が60代以上になった人
  • 大河ドラマが好きな人

 

『イカゲーム』シーズン3 ネタバレなしあらすじ

ゲーム参加者を引き連れて、運営たちがいる上階に攻め入ったギフンは、多数の仲間を失いながらもフロントマンのいる場所まで辿り着いた。しかし、目の前で友人・チョンベをフロントマンに殺される。

気絶させられたギフンは再びゲーム参加者が待機するホールに戻された。反乱の失敗で茫然自失のギフンは、失敗の責任はデホにあると恨みを募らせる。

多数決投票の結果、ゲーム続行が決まり、まもなく第4ゲーム「かくれんぼ」が始まった。参加者は隠れながら出口を探す青組と、青組を一人殺すとクリアになる赤組に分けられた。赤組のギフンは青組のデホだけをターゲットに定め、追いかけ回す。ゲーム中、青組になった妊婦のジュニは破水してしまう。

『イカゲーム』シーズン3 ネタバレあり感想

この世界はどこまでも残酷

ギフンに優勝してほしいけど、これまでも鑑賞者の希望をボッコボコに打ち砕いてきたこの作品が、それを簡単に許してくれるわけない。ゲームの闇を暴けなくてもいいから、どうにかギフンには生きて帰ってほしい、と願わずにはいられませんでした。

ギフン以外死ぬだろうとは思っていましたが、心優しい参加者たちが、志半ばに脱落していくのがとても辛かったです。

賛否両論あった結末ですが、鑑賞者が抱いていた希望が何一つ汲んでもらえなかった落胆も理由としてあると思います。あまりにも悲しすぎた。

正義の反乱失敗で失意どん底のギフンはずっと黙っているし、苦境や死線を乗り越えてきた参加者を差し置いてぽっと出の新生児が優勝してしまうし、フロントマンは逃亡、ゲームもまだ続くかもしれない。

ギフンの志は果たされたようで、果たされていません。ギフンが死んだところで、世界はほとんど変わりませんでした。

たった一人が必死に声をあげて頑張っても、対大勢、対組織にできることには限度があって、正しい人が必ず勝つ世界ではないことがシーズン2〜3を通して思い知らされました。ゲームは、監督が作品に投影したこの世界の現実は、なんて残酷なんだろう。

○投票を続けるおじさんたちが、周りがこれだけ倒れていく中で「自分は大丈夫だろう」と思えるのも、理解不能を通り越してもう怖かったです。

言うまでもなく、このゲームは現実の資本主義社会のメタファーです。○おじさんたちが、自分の利益だけを追って配下や関係者を危険に晒す利己主義な企業のお偉いさんに見えました。

でも資本主義で成り上がるには、挑戦すべきだろうし、ゲーム中のおじさんたちの気持ちはわからないでもないのがまた複雑。ただ、現実のおじさんたちには、リスクは自分が対処できる範囲で、物事を判断してほしいものです。テレビ業界然り、政治然り。

監督の抱く女性像=聖母?

本作では女性キャラが、男性キャラを善に繋ぎ止める役割を果たすことが多く、特に「母親」は作中において特別な位置付けがなされていたと思います。

シーズン1からギフンと母親、サンウと母親、クムジャおばあちゃんとヨンシク、そして妊婦ジュニ…いろんな母子の関係が繰り返し描かれました。母子ではないですが、幼い弟にとって姉であり母であるセビョクも、気弱なミンスに手を差し伸べるセミも、登場する女性は母親のごとく包容力と優しさを持っています。

ファン・ドンヒョク監督は、女性を慈愛の聖母として神格化しているような印象を受けました。一方で、ミニョや竜宮天女のような強欲で利己的な悪い女も一部いて、女性はそのどちらかにきっぱり分けられると思っているかのような。

ゲーム中に出産したジュニは、陣痛もごく軽く、破水から30分弱の超短時間出産でした。出血もほとんどなく、産後のジュニは疲れ顔なものの、そのままホールに戻りました。実際の出産はもっとべっちょべちょで汚くて、壮絶。本作では母親のきれいな一面だけ捉えている、と思う理由もここにあります。

母親が子に抱く慈愛は、出産の痛みや育ての苦労とかを経て芽生える、複雑で我欲混じりの感情で、決して女性が生まれながらに持っているものじゃないと思うのです。でも、ドンヒョク監督は女性はみな聖母マリアだと思っているような、そんな宮崎駿的な淡い憧れの気配を感じました。

インタビューによると、ドンヒョク監督はセミがお気に入りで、セミをシーズン2の参加者間の争いで脱落させてしまったことを後悔しているそうです。

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tom
セミがゲームに参加した理由は明かされていませんが、頼もしくてかっこいいセミ姉さんだから、きっと誰かのためだと思います!

『イカゲーム』シーズン3 考察|ラスト解説、フロントマンの意図は?

【考察】ゲームの世界は現実世界を模した入れ子構造

ゲームが行われる島内での序列は、外側の世界の縮小版とも言えます。

ゲーム内

ゲーム参加者 < ピンクガード・運営スタッフ <VIP

外の世界

 一般市民 < 政治家・上級市民 < 億万長者

イカゲームの賞金ゲームには資本主義社会への批判が込められています。

ゲーム内でも、一番偉いのはゲームのスポンサーであるVIPたち。安全な部屋で、娯楽としてゲームを観戦します。資本主義社会と同じく、お金を持っている人ほど影響力や権力は強いのです。

VIPメンバーは韓国人ではなく、西洋または欧米人だったのも興味深いところ。これは、世界の一握りのVIPたちがよその国を陰で動かすほど影響力を持っていることの揶揄にほかなりません。

VIPの出資があるので、運営チームは金銭の心配なく自分たちが定めたルールでゲームを取り仕切ります。運営チームにも序列があります。組織のTOPにフロントマンが立ち、スカウト担当やVIP接客担当などの裏方、現場制御担当などに分かれます。ゲーム運営の形態はそのまま、現実の総理大臣や大統領以下、行政機関に重なります。

特に、○のマスクをつけたピンクガードの下っ端たちは、お互いの素性を隠したままゲーム運営にはバイト感覚で参加し、ゲーム終了後は高給を手にして日常に帰っていく。闇バイトそのものです。

普段は一般市民として暮らす普通の人が、人を殺すことに良心は咎めないのか?については、良心をねじ伏せるほどの賃金が得られ、罪に問われる心配もないと思えばできる人はいるでしょう。Nettflix『新幹線大爆破』でも、車掌・高市は「仕事だからできることもある」と言及していました。

そして、ゲーム参加者たちは、行政によって管理される一般市民。ゲーム継続は投票で決め、一応は民主主義の形をとってはいますが、用意されたルール内での行動しか許されていません。

【考察】ミョンギは子どもを殺すつもりだった?

最終ゲームに残ったミョンギ(コインチューバー)は、第4ゲームで脱落したジュニに代わり222番として参加させられた我が子を殺すつもりだったのでしょうか。

私の考えは、「殺すつもりだった」と思います。

ミョンギはこれまでも、自己愛の強さが垣間見えました。コイン系Youtuberのミョンギが勧めた「MGコイン」で大損をしたサノスを自業自得だとあしらったり、妊娠が発覚したジュニを突き放したり。

言葉は少ないものの他人や状況のせいにして責任を逃れる行動の数々に、某ドラマの「そんなこと言ったって、仕方ないじゃないかぁ…」が聞こえてきそうです。

最終ゲームで、ギフンの「子どもを殺すつもりなのか」という問いに、ミョンギは答えませんでしたが、否定しないことが答えだと思います。

ミョンギは一応は我が子に、愛情とは言えないまでも自分との繋がりを感じ、気にかけている様子でした。しかし、この子を突き落としゲームが終わってしまえば、自分がしたことを知る人は運営以外誰もいません。大金を手にして、華々しい世界にカムバックもできるでしょう。

ミョンギの非情で冷酷な面は、我が身可愛さのあまり他者への関心が薄いことに由来するのではないかと思います。

【考察】ギフンの目に映った炎の解釈

最終ゲームで、222番の赤子を残してギフンがステージから身を投げたあと、警察から証拠を隠すためにフロントマンは島ごと爆破。そして、目を開けたまま仰向けに倒れるギフンの瞳に、爆破の炎が数秒間映し出されました。

この炎には、①ギフンの死の強調と、②ゲームの終焉 の二つの意味があると捉えられます。

①倒れてからも、「え、ギフン本当に死んだ?」と受け入れられない鑑賞者に対して、炎を前にしても瞬き一つしない目によってギフンの命が完全に尽きていることが示されました。

②についてですが、フロントマンを除いてゲームと一番長く深く関わったギフンが燃えることで、このゲームは終焉を迎えました。島が燃える描写だけだったら、どこか場所を変えてゲームを継続する可能性はあるかもしれません。しかし、ギフンの目に炎が映るショットが挟まれたことは、ギフンの念願だったゲームを止めることに一区切り付いたと捉えていいと思います。

ほかにも、対照的な躍動を感じる炎で死を強調した、炎は火葬を示している、グランドフィナーレの花火の代わり、などいくつもの意味が考えられそうな演出でした。

【考察】ゲーム終了後のフロントマンの行動の意味

①なぜフロントマンは222番を弟・ジュノに託した?

ゲーム終了から半年経ったある日、ファン・ジュノ刑事が家に帰ると、222番の赤子が優勝賞金の入った口座のカードとともに届けられていました。

ジュノに赤子を託したのは、フロントマンで兄の、ファン・イノです。

今回イノはゲーム内の様子を一切知らず、誰が優勝したのかも、この子が誰の子なのかも知りません。脱出できた画家から、反乱までの出来事は聞いたかもしれませんが。

それでもイノが222番をジュノに託すことを選んだのは、ゲームを通して心を失い、罪も重ねてきた自分が、ギフンの代わりにこの子の未来を預かることはできない、と思ったと同時に、ギフンと一緒に行動していたジュノなら、説明がなくとも状況を察し、自分とギフンの希望を汲んでくれると信じた。

施設に預けることもできたはずですが、莫大な賞金の管理もありますし、他人に任せるよりもゲームの事情を知るジュノに託すのが最善だと判断したのでしょう。

②フロントマンがギフンの娘に会いに行った理由

フロントマンのファン・イノは、アメリカに住むギフンの娘・ガヨンの元に自ら出向いて、ギフンの遺品を渡しに行きました。

ジュノのときのようにそっと荷物を置いてきたり、人に任せたりせず、直接会いに行って手渡した理由を考察します。

過去、イノはゲームに参加し、優勝しています。参加動機は妻の治療費を稼ぐためでしたが、妻はお腹の子とともに亡くなったことが示唆されました。

妻は自分がどんな思いでゲームに参加していたかを知らないまま、いなくなってしまった。誰かのために命を投げ打って頑張ったことが、誰にも認められず、なかったことにされるのは、言葉に表しようのない虚しさだったはずです。

過去の自分と同じ状況にありながら違う道を選ぶギフンに、自分が持ち得なかった希望を見出したイノは、ギフンが懸命に奮闘して生きたことをガヨンに知ってほしかったと思います。それと、ギフンのガヨンに対する思いを繋げたかった。

そのためにイノは、ギフンの残したものを手渡すべく、はるばるアメリカまで足を運んだのでしょう。

アメリカでは、韓国同様にメンコによるゲーム参加者スカウトが行われていました。これだけのヒットはNetflix的にも美味しいでしょうし、スペインのNetflixドラマ『ペーパーハウス』が韓国版リメイクされたように他国版の展開も可能性はあると思います。

『イカゲーム』シーズン3 海外鑑賞者の反応

公開されるや、すごい勢いで再生数を重ね、配信3日で6000万再生というネトフリ最速記録を打ち立てたイカゲーム シーズン3。

ところが否定的なレビューも目立ち、賛否両論の着地となったようです。そこで、海外鑑賞者はどんな感想を抱いたのか、レビューをまとめてみました!

【イカゲーム3の批判的な海外レビュー要約】

  • 英語しゃべるVIPとか、ブサイクなCGI赤ちゃんのために皆死ぬとか意味不明
  • 展開が予想通りすぎてつまらないし、唯一好感持てたキャラを序盤で殺すし、ゲームもつまらない
  • CGの赤ちゃんと犬が気になりすぎて話に集中できない。やる気ないんじゃないかって思うレベル

多くは、CGの不自然さと、感情移入できるキャラが次々退場してしまう展開への批判でした。

赤ちゃんは人形にCGを重ねて撮影したとインタビューで明かされていました。確かにぬるぬる動く表情だったけども、そこまで作品の評価を欠くほどの要素でもない気がします。

【イカゲーム3の肯定的な海外レビュー要約】

  • ギフンの最後の選択は人間的な葛藤そのものを映し出しており、見事に着地している
  • 鋭い社会批評を取り戻した本作は、感情的な親密さと、資本主義の崩壊を描く残酷さを巧みに重ねている
  • シーズン1ほどの衝撃はないかもしれないが、感情的にはより豊かだ。テンポは落ち着いており、罪悪感と犠牲のテーマが予想以上に繊細に描かれている

肯定的なレビューは、ギフンの選択と感情の描写を讃えるものが多く見られました!

そしてやっぱり、ギフンに生き残ってほしかったという声が多数。

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tom
批判は内容どうこうより、まさかの赤ちゃんCGについての苦言が多く、そこか〜!と驚きました。

 

Netflix『イカゲーム』シーズン3 作品情報

作品情報

⚫︎ 配信開始日:2025年6月27日
⚫︎ 製作国:韓国
⚫︎ 話数:シーズン3 全6話
⚫︎ 監督:ファン・ドンヒョク
⚫︎ 脚本:ファン・ドンヒョク
⚫︎ 原題:Squid Game

予告動画

 

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