Netflixドラマ『フォーシーズンズ』を見たので、感想や作品情報をまとめました。
四季の休暇ごとに集まる3組の中年カップルの悩みや夫婦間の不満、友情を描いた本作。1981年に公開された映画『四季』のリメイクだそうです。
体力の衰えや病気、徹夜がきつい、若者とノリが合わない、など中年あるあるもたっぷり盛り込まれた共感性たっぷりなヒューマンドラマ&コメディです。
重ずぎず長すぎず、気楽に楽しめる海外ドラマをお探しの方にぴったりの作品です!
Netflixドラマ『フォー・シーズンズ』の評価
総合評価 3.0 / 5 点
評価コメント:人類みな永遠に青春!
日常とは離れた旅先ゆえに、普段やり過ごせていた不満や悩みが露呈して、3組の夫婦・カップル間のいざこざは友人を巻き込んで大事に発展していきます。
「相手が怠惰だったり、健康に気を使わなかったりして腹が立つ」など、きっかけとなる不満が誰にとっても決して他人事ではなく、とてもリアリティがあります。
露呈した不満を前に、夫婦たちはお互いに悪いところを正そうとまた悩む。50代、中年ど真ん中の登場人物たちが、若いころの情熱を諦めず、幸せを手繰り寄せようとする姿勢には光を感じます。
老いはしばしば「枯れ」と表現されますが、作中の中年たちは枯れるどころか、むしろみずみずしい生命力に溢れている。
若くてキラキラした時代は終えた、と思っているそこのあなた。そう思うのはまだ早いですよ!
1年のうちの数日を切り取っているので展開にあまり動きがなく、各キャラクターの描写も浅いので印象に残らず、視聴後の後味も薄めでした。
- 友達やパートナーとの旅行で普段よりイラッとしたことがある人
- 「この年齢になって夫婦で手を繋ぐのはもう恥ずかしい」という人
- 友達が連れてきた恋人と馴染めず、気まずい経験をしたことがある人
- 若いころはテキーラショット飲みやオール飲みをしていた人
Netflixドラマ『フォー・シーズンズ』のネタバレなしあらすじ
付き合いの長い3組のカップル(ニック&アン、ジャック&ケイト、ダニー&クロード)は、休暇になると集まったり旅行をしている。
春、ニック&アン夫妻の結婚25周年を祝い集った彼らは、ニックがアンと離婚したがっていることを知り、衝撃を受ける。そんなことも知らずにアンはお祝いパーティーの準備で浮かれている。楽しいはずの休暇は、気まずい空気に変わっていく…。
夏の旅行でプエルトリコを訪れた一行。アンと別れたニックは、20歳年下の新恋人ジニーを連れてきた。ほかの4人はジニーと打ち解けようとするが、若者ノリのジニーとニックに付いていけず、不満は募るばかり。そんな中、ダニーは近くのホテルでアンの姿を目撃する。
秋、一行は娘たちが通う大学のペアレンツ・ウィークエンドに参加した。ニックの娘・ライラはジニーを拒絶し、父・ニックに対しても腹を立てている。大学OBのジャックとケイトは、若き日の思い出に浸りつつ、冷え切った関係を修復しようと試みる。
冬は年越しも兼ねて恒例のスキー旅行へ。ニックはジニーの友人たちと旅行のため欠席、代わりにアンが参加し、中年だけで楽しく過ごしていた。一方、ニックは若者たちの中で気まずさを感じていた。仲間恋しさで心ここにあらずなニックに、ジニーは怒りをぶつける。
Netflixドラマ『フォー・シーズンズ』のネタバレあり感想
リアルすぎる中年のお悩み描写
運動の翌日に襲ってくる身体の痛み。若い恋人と楽しむためのバイアグラ。病気や健康の話。マッチングアプリは年齢を大幅にさばよんで登録。
「結婚したときとはまるで別人」は、これまでおじさんおばさんたちの口から何度聞いてきたでしょう。
切ないけどちょっと可笑しい中年あるあるが、目白押しです!
あるあるは身体面の衰え以外にも、夏のプエルトリコで滞在したエコリゾートのようなラフなホテルや、ハードなアクティビティはちょっと…と感じる、価値観の変化の面もリアリティ満載でした。
「若いころみたいに飲んで騒ごうぜ〜いえ〜い!」と遅くまで楽しんだ翌朝、横目に颯爽とジョギングに出かけていくジニーを見つめる疲労と二日酔いでぐったりの中年たちの「まじか…」と言わんばかりの表情が抜群。
でも、中年たちが若いときの情熱を再び燃え上がらせ、楽しもうとチャレンジする姿勢はとても眩しい。
歳をとったからといってハッピーでいることを諦める必要なんてない!と、ポジティブなメッセージを感じます。
人は季節とともに変わりゆく
「人の心や環境は変化する」という当たり前のことが、季節の流れと重なって、ごく自然に提示されます。
一見、変化がなく同じような毎日を過ごしているかのように思える熟年夫婦でも、会うたびにそれぞれ変化がありました。
1年のうちの4回の休暇期間中だけスポットで抜き出して描かれましたが、実際はその間に日常が続いていて、登場人物たちの心境や状況はゆるやかにグラデーション的に日々変化していたはず。
いつもは堪えられていたはずの不満が、なぜ旅先で急に突然変異のように爆発してしまうかというと、旅は非日常だからでしょう。
普段は気にしないように考えないように、押し殺していた不満が、自分のテリトリーじゃない場所で過ごすストレスや旅で受ける刺激に煽られる形で、ポーンと押し出されてしまうように思います。
その、小さな不満の積み重ねがふと「この人といるのもう無理かも」に変わった瞬間が、このドラマでは幾度となく描かれます。
夫婦間じゃなくとも、誰もが他人と付き合う中で「モヤッ」を感じたことがあると思います。誰かと一緒に旅行に行ったとき、相手の普段見えない部分が見えてイライラしたという経験も。
けれど、人は変化するもの。昔イラっとした相手も、苦手だった人も、お互い歳を重ねた今なら、前とは違った印象を受けるんじゃないかなとも思うのです。
感想は…感情移入できなくて微妙
春夏秋冬の休暇旅が各2話ずつにまとめられ、その中で3組の夫婦を描くので、どうしても各人物に割ける時間は少なく、感情移入は弱いです。
各カップルの出会いや普段の暮らしがわからないから、特に好きなキャラも、嫌いなキャラもなく。こうなってほしいという思い入れもなく。見終えたあとの感動もなく、余韻もあっさりしたもんです。
本作がエミー賞にノミネートされましたが、ほかにもっと優れた作品あったよね?というのが、正直なところ。
ニックとアンが、どうして結婚まで至ったのかも気になります。だってこの二人、あからさまに合わなそうじゃない。
アンとジャックが酔ってキスしても、ケイトとダニーの元カップルが仲良く話していても、釈明要らずで事を荒立てずに流せる信頼関係は、ほかの作品と違っていて好ましかったので、シーズン2ではもっと深い人情ドラマを期待します。
Netflixドラマ『フォー・シーズンズ』の見どころ解説
見どころ:相手を「赦す」瞬間の変化
喧嘩や争い、すれ違いには、いずれ必ず相手を「赦す」瞬間が訪れます。
本作を見るなら、パートナーや親に怒る人が、怒りや不満と折り合いをつけて、相手を赦したときの空気感の変化にぜひ注目していただきたいです!
表情、身体の強ばり、声のトーン、言葉、背景、ライティング、音楽…いろんな要素が作用して、空気がふっと柔らかくなります。
秋、ケイトとジャックが夜の街を歩きながら、文句を言いつつアサイーボウルを食べるシーンが私のお気に入り。
思い出の街で、過去に想いを馳せながら新しい思い出を重ねている二人には、哀愁や侘しさとは程遠い、前向きな明るさを感じます。
Netflixドラマ『フォー・シーズンズ』の主な登場人物・キャスト
ケイト(ティナ・フェイ)
– いまいち頼りないジャックへの気持ちに少しずつ翳りを感じ始めている。大学生の娘・ベスがいる。
ジャック(ウィル・フォーテ)
– 教師。心優しい性格だが、はっきりしない面もある。妻ケイトとは大学時代からの付き合い。
ニック(スティーヴ・カレル)
– 湖畔の大きな家に暮らす投資家。無気力なアンに愛想をつかし、離婚を望んでいる。
アン(ケリー・ケニー・シルバー)
– ニックの妻。ニック曰く、何事にも意欲がなく、趣味の陶芸からも遠ざかっている。マイペースでどこか憎めない性格。
ダニー(コールマン・ドミンゴ)
– 建築士で心臓の手術を控えている。パートナーのクロードを愛しているが、時折距離を置こうとするなど秘密めいている。
クロード(マルコ・カルヴァーニ)
– ダニーのパートナーでイタリア人。愛情深く感受性豊かで、リベラルな恋愛観を持っている。
ジニー(エリカ・ヘニングセン)
– ニックの新しい彼女。アクティブで利発な32歳の歯科衛生士。ケイトたちと馴染もうと努力するも浮いてしまう。
Netflixドラマ『フォー・シーズンズ』の作品情報
作品情報
⚫︎ 製作国:アメリカ
⚫︎ 話数:全8話 (各話約30分)
⚫︎ 製作:ティナ・フェイ、ラング・フィッシャー、トレイシー・ウィグフィールド
⚫︎ 音楽:ジェフ・リッチモンド
⚫︎ 原題:The Four Seasons
予告動画
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