2022年に世界中が夢中になった『ウェンズデー』のシーズン2が、ようやく配信されました!シーズン1から空くこと3年、長かった〜。
シーズン2では、各キャラの過去や性格がより詳しく明かされ、アダムスファミリーファンにはたまらないお話になっています。
よかった、悪かったところやぜひ注目してほしい点も含め、感想と考察をまとめました。
見終わった方、ぜひここで一緒に余韻に浸りましょう!
本記事は感想にネタバレを含みます。まだ未視聴の方はご注意ください◎
Netflix『ウェンズデー シーズン2』の評価
総合評価 4.3 / 5 点
評価コメント:ウェンズデーがそんなことするなんて…最高!
ティム・バートンらしいダークで幻想的な世界観に、少年漫画のような熱血ストーリーが融合した『ウェンズデー』。
ビジュアルのインパクトに反し、キャラたちの悩みは親子関係や恋愛、友情など普遍的で、特に「母親の支配」に象徴されるように“のけ者”たちの葛藤と苦悩が強調される。
シーズン2はストーリーの派手さよりキャラの掘り下げに重点が置かれ、キャラの意外な側面が描かれた点は魅力。
ゼイヴィア降板は惜しまれるが、新たな強烈キャラ登場や、イーニッドとエイジャックスの関係変化なども描かれ、キャラクターたちの成長と選択が見どころとなっている。
Netflix『ウェンズデー シーズン2』ネタバレなしあらすじ
新学期が始まり、ウェンズデーはネヴァーモア学園に戻ってきた。電流操作の能力を持つ弟・パグズリーも転入し、”のけ者”たちの奇妙な学園生活が再び始まる。
学園を救ったヒーローとしてウェンズデーはすっかり人気者になっていた。正体不明のストーカーによる嫌がらせが立て続けに起こるうえに、母親が寄付金集めの実行委員として学園に残ることになり、復帰早々辟易するウェンズデー。
幻視能力で「イーニッドが自分のせいで死ぬ」予知を見てしまい、ウェンズデーはイーニッドを守るため、迫り来る危険と謎に立ち向かう決意を固める。
学園の近くで、探偵カール・ブラッドベリーがカラスの大群に目を抉られて殺害される事件が起きる。カールの友人だった元保安官ガルピンは、この事件を訝しみウェンズデーにある情報を渡そうとするが、ガルピンも同様の手口で何者かに殺害されてしまう。
ガルピンが何を突き止めていたのか、ウェンズデーは手がかりを求めて、ガルピンの息子で今は精神病院ウィローヒルに拘束されているタイラーに会いに行く。
一方、パグズリーは変わり者揃いのネヴァーモア学園でも友人ができず、孤立していた。パグズリーは森の中で機械仕掛けの心臓を持つゾンビを目覚めさせてしまい、ゾンビに「スラープ」と名前を付けてこっそり飼い始める。
Netflix『ウェンズデー シーズン2』ネタバレあり感想
圧倒的なビジュアルで描く、熱血ストーリー
ティム・バートンのダークで不思議な世界観が凝縮された、圧倒的なビジュアル。しかし、ティム・バートンの作品は意外にも、ストーリーは熱血、キャラクターは心根は優しくひたむきで、完全なヴィランが存在しない。
『ウェンズデー』は、特殊な能力を持つティーンたちが集う学園で、協力しながら敵や謎に立ち向かい成長していく話であり、こうやって大筋を書き出すとほぼ少年漫画だ。
見た目や個性のインパクトに反して、キャラクターたちが抱えている悩みは普遍的で私たちと何ら変わらない。劣等感に苛まれながら、親子関係に悩み、ままならない恋模様に戸惑う。友人がほかの子と仲良くしていると嫉妬してしまう…などなど。
違うのは、それらの悩みを最終的に能力を使って解決するということ。
以前、アニメ脚本家と話したとき、「問題を学校が解決するのが学園ドラマ、家庭で解決するのがホームドラマ」と教わった。この定義で言うと、能力を駆使して問題に立ち向かう本作は、異能ファンタジーに分類されるのだろう。でも本作は、ファンタジー×ダークコメディ×ミステリー×スーパーナチュラル×学園ドラマ と多層的な要素を持ち、そのどれとして見ても一級品というクオリティの高さに驚く。
少年漫画に、ティム・バートン色の唯一無二の表現が組み合わされたら、面白くないわけがない!ティム・バートンの新作をリアルタイムで追えることは、平成生まれでよかったと思うことの一つだ。
繰り返される母親の支配
作中で、「母親の支配」がしつこいほど繰り返し描かれるのが気になった。”のけ者”らしさや、”のけ者”ならではの苦悩が、親子関係によって強調されている。
ほとんどの子どもたちは、親、特に母親と確執を抱えている。ここで言う”子ども”はティーンに限ったことじゃなく、ウェンズデーの母親・モーティシアもウェンズデーの祖母・ヘイリーとの間に軋轢がある。ウィローヒルの黒幕ジュディも、父親の実験を続けていることから、父親の思想に支配されていると言える。
仲間が少なく、存在を許される場所が限られる”のけ者”の彼らにとって、親の存在は大きい。たとえ独裁的な親でも、独り立ちするまでは、親の顔色を伺いつつ生きていかなければならないのだろう。
とはいえ、蛙の子は蛙。のけ者の子はのけ者。強烈すぎる個性を持つ親から生まれた子もまた、強烈な個性を持つ。
「普通」からはみ出た個性は、「過剰」となって他人に向けられる。母親からの支配に抑圧されて育った子が親になったとき、本人には自覚なくとも、子にプレッシャーを与えてしまう。
この作品の中では、親子に限らず、誰もが何かに支配されている。一族に受け継がれる能力や歴史、ウィローヒルの精神患者たち、カルト集団、キャンプのボーイスカウトたちまでもがそうだった。この先、支配者との和解や決裂をもって、それぞれのキャラクターのドラマにオチがつけられるのだろう。
キャラクターを深堀りする目的のシーズン2
シーズン1のほうがおもしろかった!という感想もちらほら目にするが、キャラクターの過去や意外な側面が見られて、私はとても楽しんだ。
シリーズの命運をかけてインパクトを残す必要があるシーズン1に比べて、世界観やキャラクター像を深く掘り下げるターンに入ったシーズン2は、どうしても1より印象が弱くなるのは仕方がない。
ハンドの秘密や、フォスターの熱烈ロマンスキスは、古くからのアダムスファミリーファンには賛否ありそうだけれど。
カラフルなK-POPウェンズデーは、今回ウェンズデーのダンスシーンがないためサービスで入れたのかなと思う。ダンスについては、シーズン1で反響が大きかったから味を占めたな。
インスタでもメディア登場時もクールな表情が多いジェナ・オルテガだけど、笑顔だとヴァネッサ・ハジェンズみたいな愛嬌があって可愛い!
ゼイヴィア降板が残念
ゼイヴィアがスイスの学校に転校というかたちで退場してしまったのが寂しい。ウェンズデーにコケにされても幼馴染以上恋愛未満の距離を保つゼイヴィアは、おそらくイーニッドに次ぐ人気だったろう。
ゼイヴィア役のパーシー・ハインズ・ホワイトの性的暴行疑惑が、2023年1月にSNS上で報じられた。逮捕されたとかではないし、パーシーも否定しているが、キッズ&女性視聴者が多いシリーズでは降板は仕方ない。
この先ウェンズデーのロマンス相手には、新キャラを持ってくる可能性もあるけど、改心したタイラーをあてがうんじゃないかと予想している。ただ、恋するウェンズデーが見たいわけじゃないので、恋愛要素は別に絡めてくれなくていいというのが本音。
イーニッドとエイジャックスは復縁してほしかった。ブルーノに気移りしたのは、人狼に転身できたことはイーニッドの価値観を一転させるほど大きな出来事で、それ以降イーニッドが傲慢になっていることをわかりやすく示すためだった。
でもイーニッドを見るエイジャックスのしゅん顔は切なくて、もうビアンカに乗り換えて構わないからエイジャックス幸せになってくれ〜!ともどかしかった。
エイジャックスへの恋は、イーニッドがか弱い恋する少女だったころの象徴だ。友達として握手してしまった今、イーニッドが戻ってきても、エイジャックスとはもう恋愛関係にならない気がする。
Netflix『ウェンズデー シーズン2』考察・解説
【解説】イーニッドに秘められた性質「アルファ」とは
人物にはアルファと呼ばれるタイプが存在し、イーニッドがアルファであると分かった。
アルファは存在自体が極めて珍しく、とても強い力を持つ最強の人狼。初めて人狼に変身したのが遅く、初めての変身がブラッドムーンであるのが典型的な特徴だ。
アルファは人狼に変身する力が制御できず、満月が近づくと、自分の意に反して勝手に人狼に変身してしまう。変身を制御できないアルファが元の姿に戻れなくなることもあり、そうなると、ほかの人狼に駆除される対象となる。
ほかの人狼から狙われる対象になり得る、という部分が噂として独り歩きし、人狼の中では「アルファ=孤立して一匹狼になる」という暗いイメージが定着している。
アルファについて知見があり、自身も人狼の音楽教師カプリによると「きちんと対処すれば問題ない」らしい。
シーズン2ラストで、イーニッドはウェンズデーを助けるため、カプリの言いつけを無視して人狼に変身し、人間の姿に戻れなくなってしまった。人狼のまま逃げ去ったイーニッドは、森に潜みながら逃げている。
まだイーニッドとしての自我はあるようだったが、いずれ自我を失い暴走してしまう可能性もあるだろう。
【考察】フランソワーズがタイラーからハイドの力を奪おうとした理由
ネヴァーモア在学中のアイザックとフランソワーズ姉弟は、フランソワーズからハイドの能力を抜き、ただの人間に変えようとしたが失敗。アイザックは命を落とした。
アイザックが復活を遂げ、今回こそフランソワーズからハイドの能力を消し去るかと思いきや、土壇場でフランソワーズは息子タイラーを寝台に拘束し、タイラーの脱ハイド化をしようとした。
フランソワーズのこの行動の理由は二つあると考えられる。
- 自身のハイド変身によって弱った身体はもう手遅れで回復する見込みはないから
- 愛するタイラーをハイドの宿命から解放したかったから
①については文字通りそのまま。
②は、ハイドは主人の支配を前提とした服従する生き物であり、自由に生きられない。また、女性ハイドに比べて、男性ハイドは主人を失うと弱りが速く、長く生きられない傾向にある。
ソーンヒルが死亡して主人との主従関係から解放されたタイラーが、自由なまま、長く生きられるように、との母の愛ゆえの行動だったのではないか。
ただ、タイラーからするとこれは、支配者がソーンヒルから母に変わっただけであり、ハイドの力を失うと支配に抗う力も失くしてしまうことになる。タイラーにとってはありがた迷惑だったろう。
フランソワーズは理由や目的を言わなかったし、少女のまま大人になったような無垢と狂乱のアンバランスさのせいで、異常な行動のように見えた。けれど根本にあったのは、ハイドだろうが人間だろうが変わらない、一人の親としての願いだったという、一つの解釈である。
【考察】寮の名前にもなった叔母オフィーリアについて
オフィーリアについて、シーズン2時点でわかっていることをまとめてみる。
- ウェンズデーと同じ幻視能力。能力乱用による黒い涙に悩んでいた
- 在学中に、ある日突然中庭で叫び錯乱。錯乱して以降もつけていた日記が残っている
- モーティシアは行方不明だと思っている。実際は祖母へスターに監禁されている
- モーティシアと違い、祖母へスターの辛辣な言葉は真面目に聞かず受け流していた
そして、ウェンズデーとイーニッドが暮らす寮は「オフィーリア寮」である。
シーズン1で、ウェンズデーの寮がオフィーリア寮に決まると、ウェンズデーは母・モーティシアに「家族に悩まされて正気なくして自殺しちゃった子よね?」と聞いている。それに対しては両親とも、否定も肯定もしなかった。
学園の噂では、錯乱したモーティシアは自殺したことになっているようだ。しかし、レジェンド生徒だったモーティシアを差し置いて、寮の名前になるくらいなので、オフィーリアの才能や存在感はよほどのものだったことは間違いない。
ドきつい母親の小言を受け流せるだけの精神的余裕を持つオフィーリアが錯乱し、ラストでは壁に「ウェンズデー死すべし」と血文字を書いている。
若かりしオフィーリアが錯乱したのは、ウェンズデーにまつわる幻視、それも正気を失うほどの悪夢を見てしまったせいなのか。
Netflix『ウェンズデー』シーズン3に残された謎
謎①:祖母ヘイリーがオフィーリアを監禁している理由
シーズン2のラストで、祖母へスターがオフィーリアを地下に監禁しているという衝撃の事実が明かされた。
へスターはなぜオフィーリアが行方不明だと偽り、存在を隠しているのか。
オフィーリアはウェンズデーを憎んでいるようだったが、へスターはウェンズデーを可愛がっている。オフィーリアを、モーティシアやウェンズデーから遠ざけるために地下に閉じ込めている可能性もある。
謎②:音楽教師・カプリがタイラーを保護した真の目的は
カプリは、両親も主人も失い途方に暮れるタイラーを車に乗せ、どこかへ連れていった。
カプリ自身は人狼だが、昔の恋人と実の父親はハイドで、「人狼やハイドが生きていくためにはコミュニティが必要だ」と強く主張している。
タイラーを保護したのは、ハイドのコミュニティに連れて行くためのようにも思える。しかし、シーズン2でカプリはたびたび怪しい人物のようにミスリードされており、タイラーの保護は心からの善意による行動だと素直に受け取れない。
シーズン2でのカプリが登場したのは、シーズン3で起きる事件へのなめらかな布石だと考えてよいだろう。
謎③:シーズン2のラストに再登場した隻眼のカラスの意味
シーズン2 1話からたびたび登場した隻眼のカラスは、実験でエイヴィアンの力を手に入れたジュディが操っていた。
しかし、アイザックによってジュディは殺害されたにも関わらず、8話ラストで隻眼のカラスは再び姿を現した。
カラスは自然に飛んでいたのか、誰かによって操られているのかは謎。
だが、ネヴァーモアの卒業生(という設定)でもあるポーの作品の中でも、カラスは「死」を象徴する生き物として重要な役割を果たす。
シーズン2ラストのカラスは、シーズン3に誰かの死が待ち受けているか、死人が関係してくるか、「死」との深い関わりを示唆している。
Netflix『ウェンズデー シーズン2』作品情報
作品情報
⚫︎ 製作国:アメリカ
⚫︎ 話数:全8話(各話 約1時間)
⚫︎ 製作総指揮:ティム・バートン
⚫︎ 監督・脚本:アルフレッド・ガフ、マイルズ・ミラー
⚫︎ 脚本:ケイティ・ブランド、スザンヌ・ヒースコート
⚫︎ 音楽:ダニー・エルフマン、クリス・ベーコン
⚫︎ 衣装:コリーン・アトウッド、マーク・サザーランド
⚫︎ 原題:Wednesday
予告動画
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